研究課題/領域番号 |
22K07202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
伊東 潤二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 非常勤研究員 (10638844)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 初期乳がん / マウス / 乳管の異形成 / 乳がん / 女性ホルモン / 疾患モデル |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠経験が乳がんの罹患率を低下させることが知られているが、そのメカニズムは不明である。本研究は、独自の初期乳がん誘導系を用いて、妊娠経験による乳がん抑制のメカニズムを明らかにする。 本研究は、妊娠時に母体を循環する胎児由来ホルモンに着目した。そして、初期乳がん誘導系で、胎児由来ホルモンの乳がん抑制効果を示唆するデータを得た。本研究は、そのデータを基に、胎児由来ホルモンが、どのように乳がんを抑制するのかを、分子レベル、細胞レベル、個体レベルで明らかにする。
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研究実績の概要 |
エストラジオール(E2)での乳腺の異形成および浸潤性の初期乳がんの誘導系で、エステトロール(E4)が抑制効果を示すことをみつけていた。E4は妊娠期特異的な女性ホルモンのため、妊娠期に乳がん発生を抑えている可能性がある。さらにE4による乳がん抑制のメカニズムを解明すれば、E4を新たな乳がん予防物質として、もしくは既知の乳がん予防物質を補完する物質として提案できる。 前年度までに、エストロゲン受容体陽性のヒト乳がん細胞株で、無添加群、E2添加群、E2+E4添加群で網羅的遺伝子発現の結果を比較すると、E2添加群のみでIL-1RN遺伝子の発現が低下することをみつけていた。本年度は、マウス乳腺の凍結切片で、Il-1rn遺伝子のmRNA発現を調べた。in situ hybridization用のプローブを作製し、調べた結果、E2無投与群では90%ほどの乳腺上皮細胞でIl-1rnが発現していたのに対し、E2投与群ではIl-1rn陽性の細胞が約50%に減っていた。 Il-1rn遺伝子はIl-1受容体のアンタゴニストをコードしている。Il-1rnの発現低下はIL-1シグナリングの上昇を誘導すると考え、IL-1シグナリングの指標であるp65のリン酸化を免疫染色で調べた。その結果、リン酸化p65陽性の乳腺上皮細胞は、E2無投与群で2%ほど、E2投与群で15~30%みられた。E2投与群による上昇は、E2+E4投与群で約5%に低下していたことから、E4による乳がん抑制効果はIL-1抑制が寄与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Il-1の発現確認を、in situ hybridizationのセットアップから始めたため、時間がかかった。そのため、マウスの発がん誘導実験ができなかった。 しかし、発がん誘導実験に必要な試薬の手配は済んだため、次年度にスムースに開始できる。
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今後の研究の推進方策 |
IL-1シグナリングを抑えることによる初期乳がん発生への影響を調べるために、マウス初期乳がん誘導系で、市販のIL-1阻害剤を加える実験をする。 市販のIL-1阻害剤による抑制効果がみられれば、E4やIL-1阻害剤が、初期乳がん発生の増殖に影響しているかどうかを調べる。
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