研究課題/領域番号 |
22K07224
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 幸成 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00571811)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | がん特異的抗体 / CasMab / GpMab / モノクローナル抗体 / 抗体 |
研究開始時の研究の概要 |
モノクローナル抗体は実験的ツールや診断薬としてだけでなく、様々ながん治療に応用されている。一方、がん細胞に特異的な抗体を樹立しなければ、常に正常組織への毒性が懸念される。しかし、がん細胞だけに高発現している分子は限られているため、新規の標的分子を発見するのは困難である。本課題においては、申請者が開発したがん特異的抗体作製法(CasMab法)や糖鎖改変技術(GpMab法)を駆使し、種々の糖タンパク質に対するがん特異的抗体を作製し、その有用性の証明および最適化を目指す。また、樹立したがん特異的抗体ががん細胞に特異性を示すメカニズムの解明を行う。
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研究実績の概要 |
本課題においては、申請者が開発したがん特異的抗体作製法(CasMab法)や糖鎖改変技術(GpMab法)を駆使し、種々の糖タンパク質に対するがん特異的抗体を作製し、その有用性の証明および最適化を目指す。また、樹立したがん特異的抗体ががん細胞に特異性を示すメカニズムの解明を行う。これにより、これまで非常に困難だったがん特異的抗体が効率的に樹立でき、副作用のない抗体医薬や免疫療法の開発が可能となる。令和4年度には、マウスに標的タンパク質発現細胞株あるいは分泌型の標的タンパク質を免疫することにより、標的HXに対する抗体のライブラリーを作製した。 令和5年度は、昨年度作製した抗HX抗体の性状解析を実施した。まず、抗体の特異性を確認するため、HXが発現しているがん細胞株を用いて、CRISPR-Cas9技術によりHXノックアウト細胞を作製した。樹立した抗体がHXノックアウト細胞に反応しなければ、HXに特異的な抗体であると判断した。また、申請者が開発した独自の糖鎖不全株を用い、糖鎖認識抗体の有無の確認を行った。具体的には、シアル酸、ガラクトース、N型糖鎖などを付加する糖転移酵素のノックアウト細胞を複数樹立してきたが、これらの細胞にHXを導入し、強制発現株を樹立した。これらの糖鎖不全株に対し、樹立した抗HX抗体の反応性を確認した。糖鎖不全株に対する反応が減弱あるは消失すれば、抗体のエピトープに糖鎖が入っている可能性が示唆されるが、樹立した抗HX抗体については、糖鎖不全株への反応性の減弱は見られず、糖鎖がエピトープに含まれないことがわかった。また、ELISAやフローサイトメトリーによるエピトープ解析、BIAcoreを用いたアフィニティー解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モノクローナル抗体は実験的ツールや診断薬としてだけでなく、様々ながん治療に応用されている。一方、がん細胞に特異的な抗体を樹立しなければ、常に正常組織への毒性が懸念される。しかし、がん細胞だけに高発現している分子は限られているため、新規の標的分子を発見するのは困難である。本課題においては、申請者が開発したがん特異的抗体作製法(CasMab法)や糖鎖改変技術(GpMab法)を駆使し、種々の糖タンパク質に対するがん特異的抗体を作製し、その有用性の証明および最適化を目指す。また、樹立したがん特異的抗体ががん細胞に特異性を示すメカニズムの解明を行う。これにより、これまで非常に困難だったがん特異的抗体が効率的に樹立でき、副作用のない抗体医薬や免疫療法の開発が可能となる。 令和4年度には、マウスに標的タンパク質(HX)発現細胞株あるいは分泌型の標的タンパク質を免疫することにより、標的HXに対する抗体のライブラリーを作製した。令和5年度は、昨年度作製した抗HX抗体の性状解析を実施した。複数の抗HX抗体のうち、がん特異性を示す抗体が複数得られ、順調に研究が進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、これまでに作製に成功した抗HX抗体による抗体依存性細胞障害活性(ADCC)、補体依存性細胞障害活性(CDC)、マウス腫瘍移植片モデルを用いた抗腫瘍効果の検討を実施する。そのためには、まず、抗体遺伝子クローニングを実施し、サブクラスをmouse IgG2aタイプに改変する。その後、BINDS-09 (FUT8欠損型Expi-CHO-S)に遺伝子導入し、コアフコース欠損型抗体を生産する。これにより、ADCC活性が大幅に上昇することが期待される。マウス移植片モデルには、HXが高発現しているヒト乳がん細胞株(SK-BR-3, BT474)等を用いる。がん特異的抗体が、既存の抗体医薬品と同等の抗腫瘍効果が得られれば、臨床応用への展開が期待できる。
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