研究課題/領域番号 |
22K07228
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
三輪 啓志 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座准教授 (00209967)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | CAR-T細胞 / エネルギー代謝 / 解糖阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
CAR-T細胞の代謝を改変することにより、CAR-T細胞療法の有効性を向上させることを目指す。我々はこれまでに、低濃度の解糖阻害薬(2-deoxyglucose : 2-DG)を添加するとCAR-T細胞を抗原刺激時にγ-IFN産生が亢進することを見出した。その機序として想定される、糖新生→グリコーゲン生成、分解→ペントースリン酸回路活性化→NADPHの産生亢進(redox改善)によるT細胞疲弊の解除→エフェクター機能亢進、について検証する。さらに担癌マウスをCAR-T細胞で治療する際、2-DGを投与することで治療効果の改善が認められるかを検証し、代謝改変CAR-T細胞療法の臨床応用への可能性を追求する。
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研究実績の概要 |
CD19 CAR-T細胞を抗原(プレートコートしたCD19抗原)刺激時に解糖阻害薬:2-deoxyglucose (2-DG)を添加することにより、γ-IFN産生に及ぼす影響を検討した。αβT細胞では2-DG 0.5mMでコントロールに比べγ-IFN産生が約20%増加した。γδT細胞では2-DG 0.5mMあるいは2mMでγ-IFN産生が20~30%増加した。 低濃度の解糖阻害によるγ-IFN産生亢進の機序として、糖新生→グリコーゲン生成、分解→ペントースリン酸回路活性化→NADPHの産生亢進(redox改善)によるT細胞疲弊の解除→エフェクター機能亢進 を想定しているが、Glycogen Phosphorylase Inhibitor あるいはペントースリン酸回路の阻害薬である6-aminonicotinamide (6-AN)の添加は低濃度の解糖阻害によるγ-IFN産生亢進を低下させた。特に6-AN添加によりγ-IFN産生亢進は強力にキャンセルされた。 低濃度の解糖阻害によるCAR-T細胞の代謝の変化を観察するため細胞外フラックスアナライザー(Seahorse)による解析をおこなった。2mM 2-DG添加により、basal oxygen consumption rate (OCR) の上昇が認められ、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化(酸素消費)が亢進していることが推察された。 今後は、低濃度の解糖阻害によりCAR-T細胞中の活性酸素(ROS)が減少するかどうか、また、疲弊マーカーの推移等を観察していく。さらに低濃度の解糖阻害によるγ-IFN産生亢進が標的細胞傷害に寄与しているかを観察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CAR-T細胞を抗原刺激時に低濃度の解糖阻害薬:2-deoxyglucose (2-DG)を添加することにより、γ-IFN産生が亢進することを確認した。αβT細胞とγδT細胞ではγ-IFN産生を亢進する2-DGの濃度に違いがあることも判明した。 低濃度の解糖阻害によるγ-IFN産生亢進の機序として、グリコーゲン分解、ペントースリン酸回路の関与を想定していたが、それぞれの阻害薬添加により低濃度の解糖阻害によるγ-IFN産生亢進はキャンセルされ、想定の妥当性が支持された。 低濃度の解糖阻害によるCAR-T細胞の代謝の変化を細胞外フラックスアナライザー(Seahorse)による解析で確認された。 以上、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、低濃度の解糖阻害によりCAR-T細胞中の活性酸素(ROS)が減少するかどうか、また、疲弊マーカーの推移等を観察していく。さらに、低濃度の解糖阻害によるγ-IFN産生亢進が標的細胞の傷害活性につながっているかをin vitro さらには in vivo の系で検証していく。
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