研究課題/領域番号 |
22K07230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下條 正仁 大阪大学, 大学院薬学研究科, 特任准教授(常勤) (90591925)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 核酸医薬 / アンチセンス核酸 / miRNA / コンパニオン診断薬 / 個別化医療 / スプライシング制御 / 小細胞肺がん |
研究開始時の研究の概要 |
がん転移と再発は、辛い治療を受けている患者と家族には大変な悲しみである。我々が開発中の新規核酸医薬は、30年以上も新薬が誕生していない小細胞肺がん及び治療抵抗性前立腺がん、乳がん治療に向けて一筋の明るい光を見つけることができた。治療には、高い治療効果と低い副作用が予想できる患者を選別する個別化医療が重要であり、独自に発見したmiRNAを用いた診断に関して研究中である(特許6467580)。がん細胞から分泌されるmiR-4516は、転移する組織の細胞間接着を緩める「吹き矢」のように機能している可能性がある。本研究は、コンパニオン診断薬(miRNA)が、がん転移を促進する上皮間葉転換に与える影響を明らかとする。
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研究実績の概要 |
小細胞肺がん及び治療抵抗性前立腺がんなどの神経内分泌がんは、スプライシング異常による腫瘍抑制因子RESTの発現低下が関与している。この要因としてスプライシング因子SRRM4の異常発現が報告されている。SRRM4を標的とした抗腫瘍核酸医薬(SRRM4 ASO)は、in vitro及びin vivo実験では効果的な抗腫瘍効果を示しており研究・開発が進められている。SRRM4の異常発現は、SRRM4 mRNAを標的とする細胞内miR-4516の低下が関与し、一方で細胞外にはエキソソームに封入されたmiR-4516が検出されることから、miR-4516は診断マーカーとして考えられている。SRRM4 ASOを投与した小細胞肺がん及び前立腺がん細胞はSRRM4の発現低下とともに、そのスプライシング標的遺伝子RESTのスプライシングを変化させ正常なREST発現を上昇させ、細胞死を誘導した。さらに、SRRM4 ASOを投与した場合、腫瘍細胞内では発現低下しているmiR-4516発現が上昇した。そこで、SRRM4 ASOを導入した細胞内miRNAマイクロアレイ解析の結果、16のmiRNAに2倍以上の発現変化が認められた。2つのmiRNAは減少し、miR-4516を含む14のmiRNAが発現上昇した。また、我々が開発中のRESTスプライシングを直接制御するREST SSOを用いた場合、同じようにmiR-4516の発現上昇を誘導した。本研究の結果、神経内分泌腫瘍細胞で発現減少しているmiR-4516は、SRRM4 ASOが抗腫瘍効果を示すとともに発現上昇したことから、miR-4516は分子標的治療薬(SRRM4 ASO及びREST SSO)のコンパニオン診断薬として有効であると考えられた。この研究推進は、難治性神経内分泌がん治療核酸医薬とmiR-4516を用いた個別化医療を実現すると考えられた。
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