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急性骨髄性白血病治療に特化したCXCR4発現CD25標的キメラT細胞の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07243
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関日本医科大学

研究代表者

伊藤 亜里  日本医科大学, 医学部, 助教 (90749772)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード急性骨髄性白血病 / キメラ抗原受容体T細胞 / CXCR4 / 骨髄 / 腫瘍免疫 / CAR-T療法 / AML治療 / CD25 / 予後不良 / キメラ抗原受容体-T(CAR-T) / 急性骨髄性白血病(AML) / 免疫疲弊
研究開始時の研究の概要

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄に強力に残存する、化学治療や放射線治療が困難な疾患である。我々は、AMLの予後不良因子であるCD25を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞に、骨髄への走化性因子であるCXCR4を発現させたCXCR4-25CAR-Tを開発し、これが、患者由来のAMLを生着させたマウスのAMLを駆逐することを見出した。本研究は、CXCR4のCAR-Tでの役割を明らかにし、AMLを対象とした根治の可能性の高いCAR-T療法の先駆けとなることを目標としている。

研究実績の概要

急性骨髄生白血病 (AML) は、分化、成熟が障害された造血幹/前駆細胞が腫瘍化した病態で、骨髄を好んで増殖し、再発率は50%である。申請者は、AMLの予後不良因子であるCD25を標的としたキメラ抗原受容体 (25CAR) 発現T細胞に、骨髄への走化性因子であるCXCR4を発現させたCXCR4-25CAR-Tを開発し、これが、患者さんから採取したAML細胞を移植したPatient derived xenografts (PDXs) マウスの骨髄のAMLを駆逐することを見出した。初年度は、CXCR4がT細胞の疲弊を抑制すること、メモリー分化を増強することを明らかにした。これにより、CXCR4がCARの機能を向上させる仕組みの一端が明らかになった。今年度は、骨髄のT細胞が特に疲弊状態に陥りやすく、25CAR-T細胞ではeffector細胞由来と考えられる乳酸が骨髄に蓄積していること、CXCR4-25CARではそれが抑えられていることを明らかにした。T細胞の代謝状態は、抗腫瘍効果と連携している。CXCR4-25CARでは抗腫瘍効果の高いT細胞に発現する活性化受容体のCD226陽性細胞が多かったため、CD226発現の有無で代謝の違いを調べたが、有意な変化は見つからなかった。CXCR4-25CAR-T治療を行ったが、治療効果が見られないマウスのT細胞を解析したところすべての細胞がPD1,TIGITなどの疲弊マーカーを発現していた。そのため、抗PD1抗体や抗TIGIT抗体の投与を行ったが、症状の改善は見られなかった。来年度は、CXCR4のメモリー促進の機序の解明に集中する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄を起点として体内を循環し、制御が困難な疾患である。DNAポリメラーゼ阻害薬、アポトーシス阻害薬、FLT3阻害薬などの化合物による治療が開発されているが、骨髄に強く生着するAMLを根治することが課題となっている。我々は、CXCR4をキメラ抗原受容体 (CAR) T細胞 に発現させることが、骨髄のAMLの排除に有効であることを発見した。本研究で、抗腫瘍効果増幅の機構を明らかにするため、CXCR4の発現の有無でAMLの予後不良因子であるCD25を標的にしたCAR-T細胞の遺伝子とタンパク質の発現にどのような違いがあるか、Mass CytometryおよびSingle cell RNA seq (scRNA-Seq) を用いて解析し、CXCR4がT細胞の疲弊を抑制すること、メモリー分化を増強することを明らかにした。また、T細胞が骨髄で疲弊しやすい状況にあることを明らかにした。組織乳酸量を測定したところ、CXCR4を発現しないCD25CAR治療を行ったAML移植マウスの骨髄では乳酸量が増加していることを見出した。CARその機構解明は、腫瘍免疫研究において重要な知見となる可能性がある。

今後の研究の推進方策

本課題では、骨髄のT細胞が特に疲弊状態に陥りやすく、25CAR-T細胞ではeffector細胞由来と考えられる乳酸が骨髄に蓄積していること、CXCR4-25CARではそれが抑えられていることを明らかにした。T細胞の代謝状態は、抗腫瘍効果と連携している。CXCR4-25CARでは抗腫瘍効果の高いT細胞に発現する活性化受容体のCD226陽性細胞が多かったため、Flux analyserを用いてCD226発現の有無で代謝の違いを調べたが、有意な変化は見つからなかった。来年度は、CXCR4のメモリー促進の機序の解明に集中する。具体的には、CXCR4-25CARにCXCL12を作用させ、それのみでメモリーの促進が見られるかどうかを確認する。さらに、CXCR4-CXCL12の下流のシグナルを突き止める。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] キメラ抗原受容体T細胞治療時の組織依存的な代謝機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜里、富澤麻利子、梶田博志、鈴木那穂子、反町優理子、小林麻衣子、清水孝子、松本 武久、白水美香子、田久保圭誉、齊藤 頼子、石川 文彦
    • 学会等名
      第96会日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Elucidating Tissue-Specific Metabolisms in Chimeric Antigen Receptor T-Cell Therapy2023

    • 著者名/発表者名
      Ari Itoh-Nakadai, Mariko Murasawa-Tomizawa, Matsuda Masashi, Koseki Haruhiko, Fumihiko Ishikawa
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Targeting poor prognosis leukemia with CD25-targeted chemokine receptor expressing CAR-T cell therapy2022

    • 著者名/発表者名
      Ari Itoh-Nakadai, Yoriko Saito, Mariko Murasawa-Tomizawa, Hiroshi Kajita, Ikuko Ogahara, Saera Fujiki, Nahoko Suzuki, Takehisa Matsumoto, Masashi Matsuda, Yuriko Sorimachi, Shinsuke Takagi, Mikako Shirouzu, Uchida Naoyuki, Keiyo Takubo, Haruhiko Koseki, Shultz Leonard, Shuichi Taniguchi, Fumihiko Ishikawa
    • 学会等名
      第84回 日本血液学会学術集会 一般講演
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Targeting poor prognosis leukemia with CD25-targeted chemokine receptor expressing CAR T cell therapy2022

    • 著者名/発表者名
      Ari Itoh-Nakadai, Mariko Murasawa-Tomizawa, Masashi Matsuda, Haruhiko Koseki, Fumihiko Ishikawa
    • 学会等名
      第51回日本免疫学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 動物モデルによるAMLの病態および治療法の解明2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜里
    • 学会等名
      第84回 日本血液学会学術集会 教育講演
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [図書] 遺伝子治療開発研究ハンドブック 第2版2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤亜里、石川文彦
    • 総ページ数
      772
    • 出版者
      NTS
    • ISBN
      9784860438401
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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