研究課題/領域番号 |
22K07253
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
逢坂 大樹 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70839141)
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研究分担者 |
王 登莉 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (40815693)
細野 祥之 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60820363)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 血漿タンパク / がん / 溶血 / CRISPR screening / 血漿タンパクとがんの関係 / ヘモペキシン / ゼブラフィッシュ / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、溶血産物はがん細胞を活性化することが示された。2020年には遊離ヘムがc-MYC遺伝子の活性を増すこと、さらに、ヘモペキシン産生低下に伴うヘム処理能減弱がリスクファクターになることが示された。我々はこれまで、敗血症における増悪因子としての溶血に取り組んできたが、その過程でヘモペキシンの新規活性を見出した。そこで、本課題では①溶血とがん進展の検証、②ヘモペキシンによる抗腫瘍活性の検証およびターゲット分子同定を目標とする。さらに、ゼブラフィッシュを用いた創薬スクリーニングにより、ヘモペキシン活性を持つ低分子化合物探索にも取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究の問い・目標は以下の3つに分けられる。①溶血はがんを増悪させるのか?、②血漿タンパクの一つであるヘモペキシンは抗腫瘍活性を持つのか?、③問①②の結果から、そのターゲット分子(受容体含む)は何か?(メカニズム)(一昨年度のまとめ)A: 溶血に対するがん細胞の挙動は既報と逆であった(抑制される)。B: ヘモペキシンのダイレクトながん細胞増殖抑制効果が見られたものの、ロット間・実験条件により活性がばらついた。 (昨年度のまとめ) 一昨年度までの結果(A and B)を別角度から検証するため、昨年度はゼブラフィッシュでのin vivo CRISPR screeningに取り組み、具体的には2つの実験系を進めた。1つ目はヘモペキシン遺伝子のknockout(KO)による評価と、2つ目はヘモペキシン遺伝子のactivation(Act)による評価である。さらに、将来的に複数の血漿タンパク遺伝子を短時間で評価するため次世代型プラットフォーム構築に取り組んだ(MIC-Drop法, 2020 Scienceでの手法を参考に)。MIC-Drop法によるKO screeningは、野生型でのPOC(proof of concept)を達成できたため(ヘモペキシン遺伝子のKO)、今後はがんモデルを使った検証を予定している。一方、Actに関しては必要コンポーネント(conditional CRISPR activationに必要な3種類のplasmid)の発現は確認できているものの、現時点でPOCを達成出来ていない(ヘモペキシン遺伝子の発現上昇が見られない)。さらなる条件検討が必要であるため今年度の主要目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①主目的の一つである、がんと溶血の関連については概ね再現性のある結果が得られた(既報とは逆)。 ②二つ目の目的である、ヘモペキシンのがん細胞に対するダイレクト作用検証についても、細胞株のみであるが結果が得られた(ロット間によるバラツキが問題)。 ③分子メカニズム、およびターゲット分子(受容体など)検証が最後の課題であるが、②の裏付けが優先事項と判断し、in vivo CRISPR screeningでのヘモペキシンの働きを検証中である(CRISPR knockout、およびactivationによるphenotyping)。さらに、次世代型screening系のプラットフォーム構築も新たな目標として加えPOC樹立に取り組んだ。Knockoutに関しては野生型でのPOCを達成できたが、Activationは現時点で成功していない。条件変更を含めた改善を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
ヘモペキシンのがん抑制効果の検証を第一目標とし、in vivoでの実験系を優先して行う。具体的には以下の2つを想定している。①Knockoutでのphenotyping、②Activationでのphenotypingである。これらを野生型、およびがんモデルで検証することでヘモペキシンの効能、およびメカニズム・ターゲット分子の探索を目指す。
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