研究課題/領域番号 |
22K07259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
津田 啓介 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (00598146)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | FDG-PET検査 / 描出特性 / 統計雑音低減 / CaLM / FDG-PET / 統計雑音低減処理法 / 腫瘍診断 / 統計雑音 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
FDG-PET画像の収集カウント数は、統計学的変動の影響を受けるため、小病変の形状や境界面が不明瞭となる。また、がん病変内部は不均一な糖代謝活性の集積分布を呈しているため、がん病変と周囲の正常組織との境界は正確に描出できていない。がん病変内部の不均一性に焦点を当て信号雑音比の高い良質ながん病変を描出することが可能となれば、今後のPET診断の発展に大きく寄与すると考えられる。本研究では、がん病変内部の代謝活性の違いによる描出特性を理論的に解明し、人工知能技術を用いた新たな統計雑音低減処理法の開発によりFDG-PET腫瘍診断におけるがん診断成績の向上を図ることを目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は令和4年度に引き続きがん病変内部の代謝活性の違いによる描出特性を理論的に解明するべく検討した。令和5年度のファントム実験では、単層または二層構造から成るがん病変を模した画質評価ファントムを使用し、二重球体へ封入するFDGの放射能濃度差を変化させたFDG-PET画像を取得した。コントラストを維持したまま統計雑音を低減できるCaLM (Clear Adaptive Low-noise Method)フィルタと従来の臨床にて広く普及しているガウシアンフィルタとの違いを定量的な評価から比較検討した。令和5年度の結果、CaLMによる統計雑音低減処理法は、二重球体内部のノイズを低減しながらも空間分解能およびコントラストの劣化を抑えることができた。しかし、小さな濃度差を正確に定量値として描出することは困難であることが示唆された。 続いて、FDG-PET検査を受けた症例の既存画像データ22症例について、頭頸部領域へFDG集積がある症例の画像データを後ろ向きに解析した。一般診療にて実施された、TOF-OSEM法(PSF-、Iteration:3、Subset:10)で画像再構成された画像データを基準画像とし、画像データにはCaLMの3つのパラメータ(Mild、Standard、Strong)を組み込んで画像再構成した。得られた画像データ(処理画像)に対して、定量的評価を行った。本研究は、順天堂大学保健医療学部研究等倫理委員会および順天堂大学医学部医学系研究等倫理委員会で承認され実施した。 臨床的検討の結果、FDG-PET検査において、CaLMを用いた画像再構成法では、パラメータとしてStrongが有用であると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要に記載の通り、令和5年度までに得られたファントム実験の結果、CaLMを用いた新たな統計雑音低減処理法は、二重球体内部のノイズを低減しながらも空間分解能およびコントラストの劣化を抑えることができたが、小さな濃度差を正確に定量値として描出することは困難であることが示された。このため、令和5年度までに得られているファントム実験の結果から、CaLMフィルタを用いた機械学習は難しいと考えられ、令和5年度に計画していたAI技術を用いた新たな統計雑音低減処理法の開発には着手できていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度までに得られているファントム実験の結果からCaLMフィルタを用いた機械学習は難しいと考えられる。また、統計雑音低減処理法はPET/CT装置固有の画像再構成アルゴリズムに影響を受けている可能性があるため、令和6年度上半期までに本研究で用いたPET/CT装置以外に、半導体PET/CT装置を用いて同様のファントム実験を実施し、がん病変内部の不均一性を考慮した代謝活性の違いによる描出特性を理論的に解明する予定である。
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