研究課題/領域番号 |
22K07269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
安田 俊輔 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (60833431)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 細胞障害性T細胞 / コルヒチン / 微小管阻害薬 / 癌免疫サイクル / 樹状細胞 / 腫瘍血管 / 免疫チェックポイント分子阻害薬 / CD8陽性T細胞 / 腫瘍浸潤好中球 / 出血性壊死 / がん免疫サイクル / I型インターフェロン / 腫瘍微小環境 / 細胞傷害性T細胞 / 微小管 |
研究開始時の研究の概要 |
微小管阻害薬と呼ばれる薬剤のいくつかは,抗がん剤として広く一般的に使用されている.コルヒチンは痛風発作の予防などに使用される微小管阻害薬だが,抗がん剤として使用するには用量が多くなり,致命的な副作用が生じるため,現在の臨床現場ではコルヒチンを抗がん剤として使用することができない.,また,微小管阻害薬には未だ未知の分子生物学的メカニズムが数多く存在し,免疫とも深く関わっていると考えられている.本研究では,コルヒチンを腫瘍内に直接投与する事によって副作用を低減し,またそれによって引き起こされる抗腫瘍効果や免疫応答などを細かく解析し,新たなコルヒチンを用いた新規抗がん治療の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
コルヒチンを腫瘍内へ直接投与した際に引き起こされる腫瘍血管の破壊・出血性壊死およびそれに続く好中球浸潤,所属リンパ節での免疫応答に関して,おもにneutrophil extracellular traps, NETsの形成および血小板を介した凝固反応と免疫応答に関連したバイオマーカーの検出を行っている. また,腫瘍内出血と好中球遊走による細胞傷害性T細胞の教育を一元的に説明しうるメカニズムとして,これら2つの事象について多角的に検討を行っている. 現時点では決定的なバイオマーカーやリガンドの検出には至っておらず,難渋している.免疫チェックポイント分子阻害薬との併用治療に関しては概ね良い結果が得られており,細胞障害性T細胞の賦活がコルヒチンの腫瘍内直接投与による抗腫瘍効果と密接に関連していることは確実と考えられる.コルヒチンが腫瘍血管を特異的に破壊すること,抗腫瘍効果に細胞障害性T細胞が関わっており免疫チェックポイント分子阻害薬でその効果が強くなるという事実は,局所において獲得された癌特異的な免疫反応が,化学療法等の組み合わせで遠隔転移や微小転移にたいしても治療効果が得られる可能性を示唆しており,また,コルヒチンの腫瘍内投与が腫瘍局所における免疫応答をより強くさせるという可能性も相まって,局所治療と同時に転移・再発予防効果を得られる革新的な薬物療法と発展する可能性を秘めていると考える. 今後も研究をつづけ,英文誌にて数年以内の論文掲載を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コルヒチンの腫瘍内投与によっておこる腫瘍血管破壊,それにつづく出血性の腫瘍壊死は非常に早期かつ強力に進行するため,腫瘍内で引き起こされている様々な事象を適切なタイミングで捉えづらく難渋している.とくに腫瘍関連マクロファージの遊走など,既知の腫瘍内でのがん免疫反応について検討できる手技・実験と同様のセオリーが通用しづらく,バイオマーカー,リガンドの検出に難渋している.
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今後の研究の推進方策 |
好中球遊走とNETsの形成,および血小板を介した凝固反応と免疫に関わる様々な因子について詳細に検討を行う.また,既に結果のでている免疫チェックポイント分子阻害薬との併用について,更に検討を重ねて,より良い条件・薬剤を見つけていく, コルヒチンで懸念される有害事象について,マウスの血液検査によっても検討する.
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