研究課題/領域番号 |
22K07270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高野 真由美 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60806298)
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研究分担者 |
北村 成史 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50624912)
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リンパ節転移 / リンパ管 / X線CT / イメージング / 組織圧 / CT |
研究開始時の研究の概要 |
がん転移の早期診断や根治に重要であるセンチネルリンパ節診断法は、診断技術が進んでいる乳がんにおいても偽陰性が5-10%存在し、見逃せない数値となっている。これまで偽陰性診断の抑制のために、蛍光ナノ粒子を利用したセンチネルリンパ節の高感度検出に注力してきた。この方法は現法の感度を高めているに過ぎず、がん存在下でのリンパネットワークの変化を考慮していなかった。本研究では、「原発巣とリンパ節を繋ぐリンパ管の構造変化」と「リンパ節転移の進行に伴うリンパ節組織内の圧力変化」に注目したメカノバイオ手法でリンパ節転移機序を解析し、これまでとは異なる視点からリンパ節転移の偽陰性診断を抑制する技術開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、「原発巣とリンパ節を繋ぐリンパ管の構造変化」と「リンパ節転移の進行に伴うリンパ節組織内の圧力変化」に注目したメカノバイオ手法でリンパ節転移機序を解析し、これまでとは異なる視点からリンパ節転移の偽陰性診断を抑制する技術開発を目指している。 2023年度は、リンパ節転移によるリンパ管の構造変化が、がん細胞の特性や腫瘍径、リンパ節転移の程度とどのように関連するのかX線CTで可視化し定量的に解析した結果、がん転移と相関があることを明らかにした。がん細胞の転移能の違いがリンパ管の構造変化に与える影響を比較したところ、高転移能のがん細胞では低転移能のがん細胞よりもリンパ管の拡張および蛇行の変化が大きく、リンパ管の形態変化に差異があることがわかった。さらに、リンパ管の拡張・蛇行は腫瘍の増大やセンチネルリンパ節へのがん転移の進行と強い相関性があることが示唆された。 また、リンパネットワークが変化する仕組みを解明するために、リンパ節転移モデルマウスを用いて膝窩リンパ節、鼠径リンパ節、腫瘍の組織圧の測定を行った。その際、圧力測定装置の改良を行ったことによりマウスのような小さなリンパ節でも安定的にデータを取得できるようになり、腫瘍とリンパ節との間の組織圧差に応じてリンパ流経路が変化している可能性が示唆された。さらに、膝窩リンパ節内のがん細胞の広がりを免疫染色により調べた結果、リンパ節内のがんの面積は時間とともに拡大し、組織圧の増加と一致する結果が得られた。このことから、膝窩リンパ節における組織圧の増加は、転移したがんが拡大するためということが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンパ管の拡張や蛇行といった構造変化はがん依存的であることを明らかにした。さらに、リンパ節の組織圧を測定することにより、複数のリンパ流路間の優位性を明らかにすることができたことから、リンパネットワーク変化の機序解明に貢献できたと考える。以上のことから今後は、リンパ流速の測定によりリンパ流の実体を把握し、さらにこれまで得られた概念を元にヒト組織での検討を進めることができる。
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今後の研究の推進方策 |
リンパネットワークが変化する仕組みの解明として、さらにリンパ流速の測定を行い、リンパ流の実体を明らかにする予定である。さらに、これまでに得られた概念を臨床診断に応用できるようヒト組織で検討する。
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