研究課題/領域番号 |
22K07291
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
須田 健一 近畿大学, 医学部, 講師 (30631593)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | EGFR遺伝子変異 / 獲得耐性 / 分子標的治療薬 / EGFR変異肺がん / チロシンキナーゼ阻害剤 / 第4世代 |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異は、本邦を含む東アジア人で頻度が高く、特に肺腺がんの約半数に存在することが知られている。進行・再発 EGFR変異肺がんに対する第一選択薬は EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)であり、これまでに第1・第2・第3世代の EGFR-TKIが臨床応用されている。近年、第4世代と呼ばれる EGFR-TKI(EGFR T790M/C797S 2次的変異を阻害可能)が開発されている。本研究では、第4世代 EGFR-TKIの有用性と、第4世代 EGFR-TKIに対する獲得耐性機序を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
EGFR変異肺がんに対し1次治療としてオシメルチニブを使用した場合に生じ得る2次的変異をBI4020(第4世代EGFR-TKI)で克服可能かという課題について、既に当科で樹立済みのBa/F3細胞株を用いて検討し、克服可能であることを確認した。また、オシメルチニブを1次治療として用いた場合に生じ得る2次的変異のひとつであるS768I変異については、この2次的変異を有するBa/F3細胞株を当科でこれまでに樹立していなかったため、S768Iを2次的変異として有するBa/F3株の樹立も開始した。しかし現時点でその樹立には至っていない。 BI4020を1次治療として用いた場合に生じ得る獲得耐性機序を探索するという課題について、EGFR変異陽性肺がん細胞株であるPC9、HCC4006、HCC827、H1975、およびH3255株を親株として獲得耐性株の樹立を開始した(濃度漸増法)。PC9細胞株からは耐性株が樹立できたため、その耐性機序について検討を開始した。EGFR遺伝子に2次的変異が生じていないことはダイレクトシーケンスにて確認できたため、その他の機序について解析を進めている。一方、HCC4006およびHCC827株も高濃度で増殖可能な段階まで到達しているが、残りの株については耐性株の樹立を未だ低濃度で継続中である。 またオシメルチニブが本邦EGFR変異陽性肺がん外科切除例の術後補助療法としても承認されたことを受け、実臨床におけるEGFR変異の検索は外科切除例においても重要となっている。新規EGFR変異解析法であるIdylla法の有用性および正確性を検証する研究を、当院ゲノム生物学教室との共同研究として実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGFR変異肺がん細胞株からのBI4020獲得耐性株の樹立は順調に進んでいる。また既存のBa/F3細胞株を用いた検討も予定通り進んでいる。しかしS768Iを2次的変異として有するBa/F3株の樹立には想定以上に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
S768I変異を2次的変異として有するBa/F3株の樹立には引き続き取り組む。またBI4020獲得耐性株の樹立も継続して実施するとともに、樹立できた獲得耐性株について、その耐性機序の探索を行う。また本年、さまざまな学会報告や論文報告において、オシメルチニブ以外の新規第3世代EGFR-TKIの有用性の報告が相次いでいる。当科でこれまでに樹立したBa/F3株(さまざまなオシメルチニブ耐性をもたらし得る2次的変異を保有)を用いて、これらの2次的変異が新規第3世代EGFR-TKIにも耐性をもたらし得るかについても検討する。
|