研究課題/領域番号 |
22K07315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 静岡県立静岡がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
畠山 慶一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20564157)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 腫瘍濃縮 / 次世代シーケンサ / 腫瘍不均質性 / 体細胞変異 / コピー数変化 / 体細胞変異変異 / 細胞濃縮 / FFPE組織切片 / 発現解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、次世代シーケンサによるより正確な腫瘍に含まれる遺伝子変異の検出を目指した、組織懸濁を応用した簡便な腫瘍細胞の濃縮技術を開発し、その基盤技術を用いて腫瘍不均質性を考慮した新たな変異分析法を検証する。マクロダイセクションが困難で比較的腫瘍含有率が低い腫瘍を対象とする。また、当施設が保有する8,000症例の遺伝子発現情報と病理診断で利用する免疫組織化学染色を活用して、腫瘍の不均質性に影響の受けにくいたんぱく質と不均質性を反映したたんぱく質の抽出を行う。その候補たんぱく質を用いて、腫瘍不均質性の影響を受けずにFFPE組織切片から腫瘍細胞を濃縮する手法を開発する。
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研究実績の概要 |
次世代シーケンサを用いた腫瘍に対する変異解析は、研究のみならず臨床現場においても重要な位置づけになりつつある。変異解析において、腫瘍含有率は変異同定の成否を決める重要な因子の1つであり、腫瘍含有率が低い場合には正確に変異を検出できないことが分かっている。しかしながら、患者から切除された腫瘍組織には臓器由来の細胞をはじめ免疫関連の細胞も含まれているため、がん種によっては対象中に含まれる腫瘍細胞が少ない場合がある。さらに、腫瘍に不均質性がありサブクローナルな集団に蓄積している体細胞変異であれば、腫瘍含有率が低い症例ではその変異を見落とす可能性は高い。そこで本研究では、次世代シーケンサによる正確な体細胞変異の検出を目指した、腫瘍不均質性を考慮した簡便な細胞濃縮法の確立を目的とする。 昨年度は、予備実験で性能が評価された臨床のパネル検査にも実装可能なホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片から腫瘍細胞の濃縮・分離システムの利用可能性の拡大を目指した。これは、当初このシステムは変異アレル頻度(VAF)が小さい体細胞変異を確実に捉えることに主眼を置いていたが、変異だけでなくコピー数の変化も鋭敏に捉えることができることが明らかとなったためである。実際に腫瘍含有量が極端に少ない症例に対してこのシステムを用いて腫瘍濃縮を実施し、コピー数を評価すると、未濃縮サンプルに比べて数多くのコピー数の変化を捉えることができた。また、この変化は免疫組織化学染色でも確認することができた。現在、その成果を査読付きの学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに、モデル実証としてホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片からびまん性胃がんの腫瘍細胞の濃縮・分離する技術を確立することができた。さらに再現性等の評価も実施し、FFPE組織切片から安定的に腫瘍細胞を濃縮しDNAを抽出できることを示した。また、体細胞変異だけでなくコピー数の変化も感度よく検出できる可能性を示すことができた。それゆえ、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画通りに、腫瘍不均質性を考慮した腫瘍濃縮アプローチを計画している。また次世代シーケンサの解析から、この腫瘍細胞濃縮技術で新たにコピー数変化の検出も向上できる可能性が示されため、本研究と並行して応用発展としてコピー数変化にも注目した研究も同様に進める。病院医師と協力しながら、びまん性胃がん以外の臨床サンプルを用いた実証も進めていく。 また腫瘍含有量は、ロングリードの次世代シーケンサの解析にも影響を与えることがわかってきており、本濃縮技術でロングリードの次世代シーケンサのDNA品質を満たすことができるのかも併せて評価を実施中である。
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