研究課題/領域番号 |
22K07322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
奥山 澄人 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10597355)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 数的認知 / numerosity / 演算 / 運動前野 |
研究開始時の研究の概要 |
数学の発展により、現代の我々の生活は飛躍的に発展を続けている。基本的な数学ルールである足し算、引き算といった演算は人間のみならず、霊長類、鳥類においてもその能力が報告されており、言語によらない共通のシステムの存在が示唆されている。当グループは非言語的数の認識に関わる神経活動をサルの頭頂葉から発見した。しかし未だ、非言語的数の足し算、引き算といった、演算に関わる神経活動は明らかになっていない。本研究では足し算、引き算を遂行中のサルの神経活動を記録し、演算に関連する神経機構を単一細胞レベルで同定する。演算という抽象的な操作が脳内のどの領野でどのように表現されているか明らかになることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は数的演算に関わる神経機構を同定し、その表現様式を明らかにすることである。数的演算課題遂行中のサルの左背側運動前野539個の細胞から単一神経細胞活動を記録し、125個の演算関連細胞を同定することができた。
演算を表現する細胞の表現様式として、演算専属的に足し算、引き算をコードしている可能性(演算専属細胞仮説)、あるいは既存のシステムを再利用して、演算 のコードをしている可能性(リサイクル仮説)を検討した。 演算関連細胞の大半が時系列の中で演算から手の左右にコードする情報を変換していることが明らかとなった(リサイクル仮説を支持)。さらに手と演算を同時にコードしている細胞を調べたところ、右手関連細胞では過半数の細胞が足し算をコードし、左手関連細胞では過半数の細胞が引き算をコードしていることが判明した。これは大きい数が右、小さい数が左という、メンタルナンバーラインを彷彿させる結果であり、予想を超えた発見であった。 さらに演算細胞の活動からサルの行動を予測できるか機械学習(サポートベクターマシーン)を利用して検討した結果、足し算、引き算の予測のみならず、サルが左手、右手どちらを使うかも同様に予測できることが明らかとなった。驚くべきことに、この演算を分類するよう学習した分類機をそのまま足し算の活動を右手、引き算の活動を左手と置き換えると未来の右手、左手の動作を予測できることがわかった。この結果は足し算と右手を動かす時、あるいは引き算と左手を動かす際の活動が細胞群レベルで類似していることを示唆し、演算のコードに手の動作を担う細胞群を再利用していることに矛盾しない結果である。 これらの結果から運動前野では左右の手の運動に関与する細胞群をリサイクルして演算という抽象的な操作を表現していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予想を超える結果で順調に進展し、英国紙に論文を掲載することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果の広報を行う。 今回の検討を頭頂葉の細胞においても解析を実施し、運動前野との違いを明らかにしたい。
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