研究課題/領域番号 |
22K07333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
柳下 楠 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70799189)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | テストステロン / ニューロリギン / ニューレキシン / シナプス接着分子 / 自閉症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、男性ホルモンであるテストステロンと、神経細胞で重要なはたらきを行うタンパク質とが自閉症を引き起こすメカニズムを明らかにするものである。これらの物質はそれぞれ別個に自閉症の有力な原因と考えられていたが、本研究により、始めてその繋がりが証明される。更に、そのメカニズムを深く理解し、適切に介入することが出来れば、自閉症の発症リスクを抑えることが可能になるかもしれない。本研究はその礎となるための、探索実験を行う予定である。
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研究実績の概要 |
本研究は、男性ホルモンであるテストステロンと、神経細胞で重要なはたらきを行うシナプス接着因子とが自閉症を引き起こすメカニズムを明らかにするものである。 テストステロンは主要な男性ホルモンであり、母体の胎内で急速に濃度が高くなることで脳の男性化を引き起こすと考えられている。また、この際テストステロン濃度が高くなることで、自閉症の発症リスクが高くなると考えられている。研究代表者は、テストステロンの発症リスクに関して、シナプス接着因子であるニューロリギンとニューレキシンの結合に干渉することを培養細胞系で明らかにした。 本研究ではテストステロンのニューレキシン・ニューロリギン結合への干渉とそれに伴うシナプス形成の異常が動物で起こるかどうかを明らかにすることを目指す。 今年度は胎内での一過的なテストステロン上昇を再現するために、妊娠マウスにテストステロンを投与し、生まれた仔の脳を用いて以下の実験を実施した。まず、テストステロン投与により、脳内でもニューレキシンとニューロリギンの結合が阻害されるかを、脳破砕液を用いた共免疫沈降法により検証した。この結果、特に海馬にてテストステロン投与仔群でニューレキシン・ニューロリギン結合強度が低下することを明らかにした。また、テストステロンを投与して生まれた仔において、社会性行動実験を行った結果、コントロール群と比べて社会性行動の異常が認められ、自閉症様の行動異常を引き起こすことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、妊娠マウスにテストステロンを投与し、生まれた仔の脳を用いた実験を行い、テストステロン投与による、脳内でのニューレキシン・ニューロリギン結合の阻害を明らかにすることが出来たため。また、社会性行動実験を行い、テストステロンを投与して生まれた仔において、自閉症様の行動異常を明らかにすることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、テストステロンを投与して生まれた仔における自閉症様の行動異常が、ニューレキシン・ニューロリギン結合を阻害することによってシナプスの形成に異常が生じたために起こる現象かどうかを検証する。 テストステロン投与仔群とコントロール群において、テストステロンおよびニューレキシンやニューロリギン、またシナプスマーカーとなるタンパク質がどのように発現しているかを、生まれた仔の脳における免疫組織化学を行い検証する。 また、蛍光ニューロントレーサーを用いて、テストステロン投与仔群とコントロール群における神経回路形成に異常があるかどうか検証する。
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