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光遺伝学を用いた呼吸制御による記憶の書き換え効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07335
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分51020:認知脳科学関連
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

中村 望  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (50450961)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
キーワードrespiration / reconsolidation / hippocampus / memory
研究開始時の研究の概要

辛い記憶を消すなど、記憶をコントロールすることができれば、人々の生活は改善し現代社会で増え続けるさまざまな精神疾患の治療に役立つことが考えられる。本研究では、「記憶の書き換え」について、呼吸という内因的活動が、有効な促進作用を担うことを証明する。本研究は、一度覚えた記憶を呼吸によって消したり書き換えたりすることができるかを検証し、その制御メカニズムを解明するものである。その成果は、今後の社会において、「うつ病・不安障害・アルツハイマー病などの精神疾患や認知機能障害を改善するための新しいアプローチ法」として期待される。

研究実績の概要

辛い記憶を消すなど記憶をコントロールすることができれば、人々の生活は改善し、現代社会で増え続けるさまざまな精神疾患の治療に役立つことが考えられる。本研究では、「記憶の書き換え」について、呼吸という内因的活動が有効な促進作用を有することを証明する。これまで我々は、呼吸中枢活動を光操作で止めることのできるトランスジェニックマウスを用いて、記憶を形成する瞬間に呼吸を止めると、記憶できなくなることを発見した。つまりこれは、呼吸には、記憶を形成するときにそれができなくなるなんらかの作用を有することを意味する。本研究では、さらに一歩進んで、一度覚えた記憶について、記憶想起に合わせて呼吸を制御することで、記憶を消去できるか、つまり、呼吸には、新しい記憶の形成に関与するだけでなく、すでに覚えた記憶を消し去る作用をもちうるかについて解明する。
1) 記憶形成されたあとの呼吸停止による再固定の消去効果の検証
覚醒マウスの呼吸停止による記憶の再固定の消去効果と、その効果が現れるまでの臨界点を検証する。その検討すべき条件として、これまで示した恐怖条件付け課題を用いて、記憶が形成されたあと、呼吸停止によってどの時点で記憶が消去できるかという再固定効果を明らかにする。
2) 海馬のニューロン群の活性化パターンの可視化
上記で説明したArc, Homer1a, Fosの最初期遺伝子を用いた分子イメージング法、in situハイブリダイゼーションを行い、海馬だけでなく、扁桃体、前島皮質、前帯状皮質などの集団レベルのニューロン群の活性化パターンの変化について検証する。これにより、記憶機能への効果、さらには、恐怖、不安、ストレス関連作用についても、全脳レベルで検証していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)では、従来のプロトコール通り、恐怖条件付け課題を用いて、エンコーディング2日間、想起1日というように、恐怖CSが定着したことを確認したあと、翌日、追加のエンコーディング2日間、想起1日、これを二回繰り返した。特に、エンコーディングの際に光操作で呼吸停止によって、記憶が再固定されることで、消去できるかどうかを調べた。その結果、コントロール群と同程度のすくみ反応を示した。つまり、呼吸停止による消去効果は確認できなかった。その効果は、よりいっそう短時間での効果が考えられるため、恐怖条件付け課題のエンコーディングの際、電気ショックを受けて恐怖CSを形成した5分後(同日)の直後に、追加のエンコーディング(5分間)を行い、その際に光操作で呼吸停止を行った。しかし、この場合のすくみ反応は、コントロール群と同程度で、消去効果は示されてなかった。成果は、おおむね順調に進展しているものの、呼吸制御による記憶効果の臨界点は、想定よりも超短期間の効果であることが考えられた。

今後の研究の推進方策

1)で得られた結果から、呼吸制御による記憶効果は、5分よりも短い効果であることから、超短時間の効果を調べる必要がある。その効果を明らかにしたあと、2)の海馬のニューロン群の活性化パターンの可視化、in situハイブリダイゼーション法を用いて、ニューロン群の活性化パターンの変化について検証する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Hippocampal ensemble dynamics and memory performance are modulated by respiration during encoding2023

    • 著者名/発表者名
      Nozomu H. Nakamura, Hidemasa Furue, Kenta Kobayashi, Yoshitaka Oku
    • 雑誌名

      nature communications

      巻: 14(1):4391. 号: 1 ページ: 1-17

    • DOI

      10.1038/s41467-023-40139-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A crosstalk interaction between the brain and breath: Timing-dependent effects of respiration on functional brain networks and beyond2024

    • 著者名/発表者名
      中村望
    • 学会等名
      第101回日本生理学会大会 シンポジウム「呼吸研究の新たな視点:情動、認知的側面からのアプローチ (2S08m)」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Brain-breath interactions: Memory enhancement and decline induced by central respiratory activity during encoding2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamura NH
    • 学会等名
      Society for Neuroscience Annual Meeting Neuroscience 2023, Wathington DC Convention Center, Washington DC, USA
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 脳息相関:記憶エンコーディング時の呼吸中枢活動によって促される記憶の強化と低下 (HT-1)2023

    • 著者名/発表者名
      中村望
    • 学会等名
      第76回本自律神経学会総会、ホットトピックセッション、埼玉会館
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 生体センシング技術の開発と ヘルスケア、遠隔診断への応用2024

    • 著者名/発表者名
      技術情報協会
    • 総ページ数
      559
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      9784867980194
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] researchmap 中村望

    • URL

      https://researchmap.jp/nakamunh-55

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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