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データ駆動アプローチによる社会性行動構文の計算論的理解

研究課題

研究課題/領域番号 22K07338
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分51020:認知脳科学関連
研究機関統計数理研究所 (2023)
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (2022)

研究代表者

三村 喬生  統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任准教授 (60747377)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード社会性 / 行動 / 機械学習 / データ駆動型 / 数理モデル / 化学遺伝学 / 霊長類 / 齧歯類 / 時系列構造 / 神経操作 / 人工知能 / 統計モデル
研究開始時の研究の概要

ヒトと動物に共通する非言語性のコミュニケーションの客観的な記述は社会脳機能の全容解明においても須である。本研究では非言語コミュニケーションにおける動作の基本単位とその構文規則(行動構文)に内在する相互の意思伝達過程をモデル化することを目的とする。小型霊長類コモン・マーモセットの社会的交流場面における行動構文を言語的ルールをベースとした機械学習により推定するとともに、社会脳回路を化学遺伝学的に操作し、人為的・一過性に誘導される社会性障害が相互の意思伝達過程の変容として抽出されるかを検証することで、モデルの妥当性を実証する。

研究実績の概要

本年度は、将来的な脳科学研究・臨床研究への接続性を意識したうえで、非言語コミュニ ケーションにおける社会的相互作用の動的過程の計算論的モデル構築として、社会性行動に含まれる身体表現ダイナミクスをモデル動物およびヒト疾患場面において解析研究を継続した。主要な、小型霊長類コモン・マーモセットの社会行動試験では、社会性の責任領域として知られる扁桃体の活動を化学遺伝学DREADDsを用いて一時的に抑制したモデル動物を3頭作出し、他個体との共同摂餌における行動変容を検証した。結果、餌の独占が強まる傾向を統計的に有意な水準で得た。現在、定型個体における追加データを収集中であり、それをもって原著論文にまとめる見込みである。
齧歯類の社会行動解析について2件の共同研究を進め、一定の成果を得た。Mt. Sinai医科大学(ニューヨーク)との共同研究では、社会性異常を誘発したモデル動物において、社会的距離に関連した行動異常を、データ駆動解析により、一定の水準で示すことに成功した。また、富山大との共同研究では、データ駆動型解析により、行動表現系のみからその薬理学的操作条件を推定する試みを行い、一定程度の成功をみた。
更に、京都大との連携により臨床場面における当事者の行動分析を実施した。脳性麻痺患者にとって、利用する補助機材の種類に応じて行動の表現が異なる可能性を得ている。
以上の研究成果を基に、4報の学会口頭発表(うち2報は招待講演)を実施し、関連する共同研究において1報の原著論文を共同執筆し、また1報の和文論文を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自身の主導する実験(小型霊長類コモン・マーモセット)と、共同研究を基に進められる実験を併せ、齧歯類・霊長類および臨床試験の全てについて一貫した行動解析アルゴリズムの適用が進んでいる。様々な社会的場面における、行動表現を代表する行動特徴量をモーショントラッキング情報に基づいて抽出する枠組みを調整した。また、機械学習アルゴリズムをそれぞれの解析条件について調整し、幅広いデータに対応できるよう改良を加えた。これにより、今後のデータ解析について高速化が実現し、大幅な進捗が見込まれる。学会における発表は内外の研究者との有機的な議論に結びつき、応用・発展について様々な可能性が展望された。根本となる行動分析アルゴリズムについて論文出版の見込みがつき、近日中に公開が見込まれる(現在、査読改訂を進めている)。

今後の研究の推進方策

霊長類の神経操作モデルについて対照となる追加データを得ることで実験を完了し、原著論文をまとめる見込みである。組織学・脳イメージングの結果を合わせることで、行動表現のダイナミクスをより詳細に明らかにできる見込みである。研究に用いている霊長類のモーショントラッキングシステムについて、最新の知見を反映したより高速・詳細な追跡が可能となるようアップデートを予定している。齧歯類の行動解析について、大規模試験を開始したタイミングであり、モーション追跡のデータが出揃ったタイミングでそれらを一括して学習できるよう準備を整えている。計算量を圧縮するためのアルゴリズム側の工夫を進める予定である。臨床試験については予備的な解析を進めている段階であり、本研究に用いるアルゴリズムが臨床における当事者行動分析においてそもそも馴染むのかどうか、その有用な貢献の可能性を今後とも探索する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件)

  • [国際共同研究] Mount Sinai School of Medicine(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Imaging α-synuclein pathologies in animal models and patients with Parkinson’s and related diseases2024

    • 著者名/発表者名
      H. End, M. Ono, Y. Takado, ..., K. Mimura, K. Kumata, T. Kikuchi, A. Shimozawa, S. K. Mishra, Y. Yamaguchi, H. Shimizu, A. Kakita, H. Takuwa, H. Shinotoh, H. Shimada, Y. Kimura, M. Ichise, T. Suhara, T. Minamimoto, N. Sahara, K. Kawamura, M-R Zhang, M. Hasegawa, M. Higuchi
    • 雑誌名

      Neuron

      巻: inpress

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 神経科学における線形混合モデルとR2024

    • 著者名/発表者名
      三村喬生
    • 雑誌名

      数理科学

      巻: 62 ページ: 63-69

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 数理モデルによるマーモセットの行動理解2024

    • 著者名/発表者名
      三村 喬生
    • 学会等名
      日本マーモセット研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 行動を読み解く数理2024

    • 著者名/発表者名
      三村喬生
    • 学会等名
      統計数理研究所 共同利用研究集会ISMCRP5013「統計モデル・数理生物学と動物行動データ」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 霊長類の自由行動に内在する動的構造の数理モデル2023

    • 著者名/発表者名
      三村喬生, 松本惇平, 持橋大地, 中村友昭, 南本敬史
    • 学会等名
      生体信号計測・解釈研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 行動のデータ科学: 教師なし機械学習による行動文法の計算論的記述2023

    • 著者名/発表者名
      三村喬生
    • 学会等名
      統計関連学会連合大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 機械学習を用いた霊長類の行動記述-自然非言語処理への挑戦-2023

    • 著者名/発表者名
      三村喬生
    • 学会等名
      第4回 サル脳新技術研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 教師なし機械学習を用いた霊長類の自由行動解析2023

    • 著者名/発表者名
      三村喬生, 松本惇平, 持橋大地, 中村友昭, 平林敏行, 樋口真人, 南本敬史
    • 学会等名
      第12回 日本マーモセット研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 自然非言語処理:数理モデルによる霊長類の行動記述2022

    • 著者名/発表者名
      三村喬生
    • 学会等名
      生理研研究集会「心的状態の理解に向けた行動・生理指標の計測と解析」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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