研究課題/領域番号 |
22K07342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
佐藤 幸市 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00302498)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | プロトン感知性受容体 / 脳虚血 / 脳内炎症 / ミクログリア / 微小血管内皮細胞 / 酸性pH / G蛋白共役型受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
脳神経系の虚血に伴うpH変化は神経機能に重篤な影響を及ぼすが、その詳細は不明である。中枢神経系にはpH 7.6~6.0を感知する複数のプロトン感知性G蛋白共役型受容体が発現している。本研究では、マウス中大脳動脈閉塞モデルを用いて、虚血・再灌流後の低酸素とアシドーシスによる脳梗塞にプロトン感知性受容体(特にTDAG8、GPR4)がどのように関わるか、脳梗塞の病態と関連したミクログリアや内皮細胞の機能変化に及ぼす受容体とそのシグナル伝達機構を解析する。
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研究実績の概要 |
中枢神経系のpH変化は神経機能に重篤な影響を及ぼすと考えられるが、そのメカニズムは依然不明である。脳神経系にはpH 7.6~6.0を感知するOGR1受容体ファミリーが発現している。本研究では、プロトン感知性受容体(TDAG8、GPR4)が脳虚血・再灌流後の組織傷害や脳微小血管のバリア機能にどのように関わっているか、受容体欠損マウスの中大脳動脈の虚血モデル解析とミクログリアや脳微小血管の内皮細胞での酸性pH応答解析によって明らかにする。TDAG8欠損で梗塞領域の拡大が有意であること、単離ミクログリアにおいて酸性pHによる炎症性サイトカイン産生(IL-1βやTNF-α)が抑制され、TDAG8欠損細胞でこの抑制が消失することを見出していたので、令和5年度ではTDAG8欠損による梗塞悪化とミクログリアの関与について解析し、以下のような実績を得た。 (1)虚血・再灌流24時間後の脳組織における炎症性サイトカインの発現を調べた。炎症性サイトカインの発現が明らかに誘導されるが、TDAG8欠損マウスでより強い発現が観察された。 (2)低pHや低酸素の環境変化が単離ミクログリアのサイトカイン産生や形態に与える影響を調べた。少なくとも、低pHにおける 24-72時間後のミクログリア形態変化が誘導されたが、TDAG8欠損の影響は観察されなかった。 (3)虚血・再灌流後の生体組織よりミクログリアの分画を試みた。しかし、細胞の変動と炎症性サイトカイン産生能などを調べるに至らなかった。 このように、脳組織は虚血によって弱酸性pHに暴露されるが、TDAG8がpH変化を感知し、脳虚血後のダメージに対して抗炎症性の保護作用を示すと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度では、虚血再還流後の中大脳動脈虚血モデルを用い、虚血・再灌流によるpH変動と脳傷害に対してTDAG8が抗炎症性の保護作用を示すこと、このように、ミクログリア活性制御が関わることが考えられた。低pHや低酸素の環境変化に伴うミクログリアの活性化にTDAG8が関わらないかと予測してインビトロで解析を試みたが、TDAG8欠損の影響を観察するまで至らなかった。今後、培養細胞(ミクログリア、内皮細胞)を用いて、このような未解決の項目に関して継続してプロトン感知性受容体の役割を探索する
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今後の研究の推進方策 |
虚血・再灌流後のpH低下に対するプロトン感知性受容体の役割を明らかにするため、中大脳動脈閉塞による虚血モデルを用いて令和6年度でも未解決の項目に関して継続して行う。また、次年度の研究計画に従い、低pH環境変化による脳微小血管のバリア機能制御にGPR4を介したシグナルが関わるのかを脳微小血管組織や内皮細胞を用いて細胞外酸性pH応答を調べる。
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