研究課題/領域番号 |
22K07347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永田 健一 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (50587798)
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研究分担者 |
吉見 一人 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50709813)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 神経炎症 / ミクログリア / シングルセルRNA-seq / ゲノム編集 / Creマウス / 神経損傷 / ケモカイン |
研究開始時の研究の概要 |
本提案は1細胞レベルでの網羅的な遺伝子発現解析、組織切片での解析によって神経炎症時のミクログリアの動態の理解を目指す。さらに、マウス個体内で神経炎症時のミクログリアが標識されるような新しいシステムを構築し、既存技術だけでは追跡できないミクログリアの運命を紐解いていく。本研究により、神経炎症が付随する各種疾患の病態制御に向けて貴重な知見を提供することが期待できる。
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研究実績の概要 |
昨年度、ゲノム編集技術を使って神経炎症の痕跡を組織中に保持するマウス系統を作製した。作製したマウスはCxcl10-CreマウスとCre依存性のレポーターマウスと交配することによって得られたマウスであり、神経炎症を経験した細胞集団が蛍光タンパクで標識されていた。本年度は、当該マウスにおける蛍光標識についてより詳細な評価を行った。まず、炎症を惹起させていない組織中の蛍光標識を評価した。多重免疫染色によって、Cd31陽性の血管内皮細胞、S100b陽性のアストロサイトが蛍光標識されることが分かった。Iba1陽性ミクログリアの一部も蛍光標識されていた。次に舌下神経損傷により炎症を惹起させ、ミクログリアの蛍光標識を対象に、時間経過に伴う変化を評価した。神経損傷後3日目では、Iba1陽性ミクログリアは大幅に増加したが、ほとんどの細胞では蛍光標識されることはなかった。7日後、10日後では、依然として蛍光標識されていない集団も認められたものの、蛍光標識された集団は増加していた。14日後では、蛍光標識された集団の割合はさらに高まり、21日後、28日後においても蛍光標識は維持されていた。さらに、当該マウスのCre発現の特異性を確かめるためにシングルセルRNA-seqを実施した。神経損傷後の舌下神経核を回収し、細胞核を単離した後に、10x Genomicsのプラットフォームでライブラリーを調整し、一定以上の細胞あたりリード数でシークエンスをよんだ。Creの発現は、Cxcl10陽性のミクログリアクラスターに認められた。 また、損傷舌下神経核に浸潤してくる末梢由来の免疫細胞集団を対象とした実験を行った。CCR2ヘテロマウスと比較して、CCR2ノックアウトマウスでは損傷神経核への浸潤細胞数が減少しており、ケモカイン受容体CCR2が浸潤プロセスに重要であることが明らかとなった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製したマウスの特性を免疫染色とシングルセルRNA-seqの両面から評価し、一定の特異性をもって炎症ミクロゴリアが標識されることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
神経炎症の痕跡を組織中に保持するマウスを使うことで、ある時点で炎症を経験したミクログリアがその後どうなるのか、炎症過程で生じる変容について理解を目指す。また、脳常在の免疫細胞であるミクログリアと、末梢由来の浸潤免疫細胞がどのような関係にあるのかを評価していく。
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