研究課題/領域番号 |
22K07384
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
高村 雄策 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (80619221)
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研究分担者 |
松本 惇平 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00635287)
泉尾 直孝 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (50722261)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | アルツハイマー / パルブアルブミン / フェロトーシス / 脂質過酸化 / コレステロール / BPSD / 覚醒下神経活動記録 / ガンマ振動 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)の神経科学的研究では、中核症状である記憶・認知機能低下の機構解明に重点を置かれてきたが、臨床現場では周辺症状である妄想、抑うつ、攻撃性等を示す行動・心理症状(BPSD)が問題となるケースが多い。本研究では、『ADのBPSDには精神疾患と同様、パルブアルブミン介在ニューロン障害とガンマ振動低下という機構が関与する』という作業仮説を想定し、BPSDの神経基盤を解明するために、新型アルツハイマーモデルApp[NL-P-F/NL-P-F]ノックインマウスを用い、BPSDに関連した行動異常、神経活動ならびに神経細胞や生体分子の変化の関連を解析し、BPSDの神経機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまで我々は、APPノックイン(KI)マウスにおいて、脳内特定領域のAβ42量とHNE付加タンパク質、およびBanes迷路遂行能力が相関することを報告している(2017, Hongo)。さらにAPP KIマウスでパルブアルブミン密度の低下を観察(2021, Hongo)した。フェロトーシスはFeイオン依存的な脂質過酸化が関連する細胞死の様式のひとつであり、アルツハイマー病における神経変性病態に深くかかわっている可能性がある。そこで、令和5年度はコレステロール生合成経路の調節とフェロトーシス様神経細胞死の関連について初代培養神経細胞を用いて検討した。コレステロール生合成経路の中で、スクアレン合成酵素阻害剤であるYM-53601、CYP51阻害剤であるketoconazolは有意に鉄依存性の脂質過酸化およびフェロトーシス様神経細胞死を抑制した。一方、メバロン酸合成阻害剤のmevastatin、isoprenyl-PP合成を阻害するzoledronic acid、 スクアレンエポキシ化酵素阻害剤のRo48-8071、zymosterol合成酵素阻害剤amorolfine、lanosterol生合成阻害剤TASIN-1はフェロトーシス様神経細胞死に影響しなかった。Farnecyl-PPはCoQ10の側鎖としても使われるため、YM-53601によるコレステロール生合成抑制はCoQ10蓄積をもたらし、フェロトーシス様神経細胞死抑制した可能性がある。また、ketoconazoleによるCYP51抑制は、H2O2の生成も抑制するため、フェロトーシス様神経細胞死抑制に関連することが考えられた。加えて、ketoconazoleはオリゴデンドロサイトの誘導・分化を促進することが報告されており、コレステロール合成経路の一部を調節することで、アルツハイマー病の病態を調節できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年1月に研究代表者は業務外の高圧容器破損事故により受傷、視覚障害の後遺症があり、実体顕微鏡下での微小手術など、研究実施において技術的な困難があり、研究計画進捗の遅滞が生じている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
覚醒下の正常およびAPPノックイン動物を用いた神経活動記録、特にデフォルトモードあるいは感覚刺激惹起によるガンマ振動を含む脳波位相同期性、パワースペクトル解析および複数の脳領域からの同時記録による機能的結合性の解析を行う。 進捗状況によっては、研究期間の延長を検討する。
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