研究課題/領域番号 |
22K07386
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 健吾 北海道大学, 大学病院, 臨床検査技師 (70549930)
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研究分担者 |
白井 玲美奈 東京薬科大学, 生命科学部, 嘱託助教 (40870754)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 血管作動性物質 / 動脈硬化 / 虚血性心疾患 / バイオマーカー / 血管内皮細胞 / マクロファージ / 血管平滑筋細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
世界第1位の死因は、動脈硬化に起因する虚血性心疾患である。本邦においても死因の多数を占めている虚血性心疾患や脳血管障害などの動脈硬化性疾患を予知するための信頼に足る鋭敏なバイオマーカーの発見には未だ至っていない。本研究では、動脈硬化制御作用をもつと示唆される新規血管作動性物質に対し、ヒト血管培養細胞実験、ApoE欠損マウスでの動物実験、臨床研究を組み合わせた、基礎と臨床を橋渡しするトランスレーショナルリサーチを行う。最終的に、虚血性心疾患のバイオマーカーを模索し、新たな動脈硬化治療戦略を創出することを目的とする。
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研究実績の概要 |
虚血性心疾患のバイオマーカーとなるかどうか、動脈硬化病変形成促進作用をもつLipocalin-2およびβ-Endorphinの血中濃度と虚血性心疾患重症度との関連をELISAで検討した。被検者は、健常者29例、非虚血性心疾患患者 (軽度高血圧+脂質異常症+糖尿病) 50例、陳旧性心筋梗塞患者46例、安定狭心症患者45例、急性冠症候群患者 (急性心筋梗塞+不安定狭心症) 81例の計251例 である。 Lipocalin-2の血中濃度は、健常者に比較して陳旧性心筋梗塞患者、安定狭心症、急性冠症候群患者では有意に増加していた (各々P<0.05、P<0.05、P<0.0001)。また、急性冠症候群患者では陳旧性心筋梗塞患者および安定狭心症患者と比較しても有意に増加していた (P<0.0005、P<0.005)。さらに、非虚血性心疾患 (健常者+非虚血性心疾患患者、n=79) と比較して虚血性心疾患患者 (急性心筋梗塞+不安定狭心症+陳旧性心筋梗塞+安定狭心症等、n=172) では、有意に増加していた (P<0.0001)。同一患者 (n=46) において、急性心筋梗塞発症時と発症後 (陳旧性心筋梗塞) で比較すると、発症後に有意に低下していた (P<0.005)。 β-Endorphinの血中濃度は、健常者に比較して急性冠症候群患者では有意に増加していた (P<0.05)。また、非虚血性心疾患 (健常者+非虚血性心疾患患者、n=79) と比較して、急性冠症候群患者 (n=81) では、有意に増加していた (P<0.0001)。同一患者 (n=46) において、急性心筋梗塞発症時と発症後で比較すると、発症後に有意に低下していた (P<0.0001)。 よって、Lipocalin-2およびβ-Endorphinは虚血性心疾患の新しいバイオマーカーになる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した進行計画に則って効率良く研究が遂行された。よって、実施計画はおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1) In vitroの検討:Neuromedin SおよびU、FAM19A5、Cytokine-Like 1、Secretoneurin 、Rubicon、各々の受容体のヒト血管細胞における内因性発現を確認する。また、Salusin-βの7 分画、Neuromedin SおよびU、FAM19A5、Cytokine-Like 1の動脈硬化の3大主要現象 (血管内皮細胞の炎症・単球接着、マクロファージの泡沫化、血管平滑筋細胞の遊走・増殖) に関してヒト細胞を使用して実験を行う。 2) In vivoの検討:Fetuin-Aおよびin vitro実験で作用が確認された血管作動性物質を動脈硬化自然発症モデル動物のApoe欠損マウスへ投与し、大動脈硬化病変形成への作用メカニズムを検討する。 3) 臨床研究:Lipocalin-2およびβ-Endorphinの虚血性心疾患の検出力を検討するため、ROC曲線を用いた解析を行う。また、冠動脈イベント (プラーク破裂、心不全、不整脈死等) と血中濃度との関係を調べる為、追跡調査する。
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