研究課題/領域番号 |
22K07404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡 孝和 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60291514)
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研究分担者 |
Lkhagvasuren Battuvshin 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (70920487)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 心因性発熱 / ストレス過剰反応生 / ストレス生高体温 / 機能性高体温 / ストレス過剰反応性 / ストレス性高体温 / 機能性高体温症 / ストレス / 不明熱 |
研究開始時の研究の概要 |
心因性発熱患者がストレス負荷時に顕著な高体温が生じるのは、先行する慢性ストレスにより脳内ミクログリアが活性化し、神経炎症が生じることによって、新規なストレスに対するストレス性体温上昇反応(stress-induced hyperthermia, SIH)が顕著になるからではないかという点を明らかにする。マウスを用いて慢性ストレスの先行によるSIH増強効果を明らかにする、また慢性ストレスに曝露されたマウスのSIH増強効果にミクログリアの活性化が関与するか、薬理学的検討及び解剖学的検討を行う。そして心因性発熱患者を対象として各種ストレスを負荷した時のストレス過剰反応性を検討する。
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研究実績の概要 |
研究1:慢性ストレスが先行すると、新規な急性ストレスに暴露された時に生じるストレス性高体温反応(stress-induced hyperthermia, SIH)が増強するかどうか検討した。実験開始1週間前に体温(核心温、core temperature, Tc)測定用データロガーの埋め込み手術を行なったオスC57BL/6マウスを用いて、以下の二群間で、急性ストレス負荷時の体温の変化を比較した。慢性ストレス先行群:慢性ストレスとして明期のいずれかの時間帯で2時間、湿った床で飼育し、その後、通常のケージに戻すというwet bedding stressに暴露したのち、11日目に、急性ストレスとして1時間の拘束ストレスを加え、その後、通常のケージに戻す。コントロール群:慢性ストレスに暴露することなく10日間、飼育したのち、11日目に1時間の拘束ストレスを加えたのち、通常のケージに戻す。二群間で急性ストレス負荷前のTcに差はなかったが、急性ストレス負荷時のTcは、慢性ストレス先行群の方がコントロール群より高値を示した。 研究2:慢性ストレスに暴露されたマウスの顕著なSIHに、慢性ストレスによって生じるミクログリアの活性化が関与するかどうかを検討するため、ミノサイクリン腹腔内投与の効果を検討した。慢性ストレス先行群群において、10日間wet bedding stressに暴露する際に、ミノサイクリン処置群(ミノサイクリンを連日投与する群)とコントロール群(ミノサイクリン投与をしない群)の二群間で急性ストレス負荷前のTcの変化を観察したところ、ミノサイクリン処置によりTcの上昇は抑えられる傾向がみられた。こ慢性ストレス先行群における急性ストレス負荷時のSIH増強反応に、慢性ストレスによって生じるミクログリアの活性化が関与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1、2、3に関しては倫理審査委員会の承認を得て研究を進行中である。研究1に関しては、すでに結果を得た。研究2に関しては再現性を確認中である。2024年度は研究3に着手し、結果を得る予定である。ヒトを用いた研究である研究5に関しては、研究の最適条件をえるためにパイロット研究を行なってきた。2024年度は本格的に研究を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究1によって、これまでの予想通り、慢性ストレスが先行すると、急性ストレスに暴露された時のSIHが顕著に生じることが明らかにされた。その機序に関しては、これまで末梢機序、つまり褐色脂肪組織の機能が亢進することが知られていたが、中枢機序に関しては明らかではなかった。研究2によって、慢性ストレスに曝露されたマウスの顕著なSIHがミノサイクリン(ミクログリア活性化抑制薬)によって抑制されることが明らかになりつつある。このことはSIH増強反応に慢性ストレスによって生じたミクログリア活性化が関与することを示唆する。そこで今後は再現性を検討すると同時に、研究3によって、慢性ストレスの曝露により顕著なSIHを生じるようになったマウスでは、SIHを媒介する脳内経路、つまり背側脚皮質/背側蓋紐、視床下部背内側核、淡蒼縫線核などのニューロンが活性化しているか、またその領域のミクログリアが活性化しているか、これらの現象がミノサイクリンの前処置によって抑制されるかなどの点について組織学的に観察する予定である。研究5では、心因性発熱患者において、ストレス負荷時の体温上昇反応が健常人とことなるかどうか検討する。これらの成果は学会発表ののち、論文として投稿予定である。
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