研究課題/領域番号 |
22K07428
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
本井 ゆみ子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (60338407)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | タウ蛋白 / シード依存性凝集 / ApoE / グリア細胞 / ストレイン |
研究開始時の研究の概要 |
タウ蛋白の疾患特異的シード依存性凝集がストレイン仮説においてどのような役割を果たすかを解明するために、グリア細胞に焦点をあて、アルツハイマー病の危険因子であるApoEを分泌するアストロサイト表面に存在しタウ蛋白をとりこむApoE受容体をCRISPRi遺伝子転写抑制にて同定、マウス海馬にてノックダウンし効果を解析する。細胞内のタウ蛋白とApoE isofrom特異的相互作用はbicisternic vectorを用いる。同時に本機構を応用した高感度cell-free 増幅法 (RT-QUICK)による変性型認知症鑑別血液マーカー開発を行い、ストレイン仮説の本質に迫る。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病脳をシードとして、神経芽細胞にC末端タウを発現させ、タウ凝集体を発現させる系を用いて、763化合物からなる既存薬ライブラリースクリーニングを行った。第一段階のスクリーニングで180化合物が選択され、その後、細胞毒性のあるものを除外するためにLDHアッセーを行い72化合物が排除された。第三段階のスクリーニングでは不溶性タウと可溶性タウを計測し、38化合物に絞り、その後、3症例のアルツハイマー病脳を用い、再現性のある4つの化合物(ランソプラゾール, カルシポトリエン, デソゲステロール, およびペンタミジン)に絞り込んだ。RT-QuiC法(In vitro filament凝集)によってタウ凝集を最も抑制したのはカルシポトリエンだった。最終段階でマウス投与実験をおこなったところ、副作用でマウスの体重が激減したため中止し、二番目に凝集抑制の強いランソプラゾールでマウスへ経鼻投与する実験を行った。投与開始1週間前にアルツハイマー患者脳不溶性画分を基底核に注入し、4ヶ月間投与を行った。ロタロッドテストでは投与3ヶ月目と4ヶ月にDMSO投与群と比較しランソプラゾール投与群では有意に運動活動が良いスコアであった。リン酸化タウ抗体の免疫染色ではリン酸化タウ陽性の領域は外包, 中脳黒質緻密層, 扁桃核, 大脳脚に認められたが、すべての領域において有意にランソプラゾール投与群で少なかった。更に、大脳半球から抽出されたサルコシル不溶性画分のウエスタンブロットのバンドもアルツハイマー病脳注入側および非注入側にてランソプラゾール投与群で低下していた。 ApoEとタウ凝集については、P2Aベクターを用いApoE3とApoE4のアイソフォームによるタウ凝集への影響の違いを調べるために神経芽細胞内で発現系を構築し、ApoEがTauと同程度に発現する系の構築が完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
In vitro凝集系と神経芽細胞を用いた培養細胞系をうまく機能しているが、グリア細胞の培養および遺伝子導入が困難になっている。そこで、グリア細胞を用いた研究が進行しない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
グリア細胞(アストロサイト)の初代培養系の実験系の確立とレンチウイルスを用いたトランスフェクションを習得し、グリア細胞実験をすすめてゆく予定である。
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