研究課題/領域番号 |
22K07431
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
尹 永淑 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (00339102)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | うつ病様症状 / BDNF / アストロサイト / 天然物 / スクリーニング / 植物抽出物 / ルシフェラーゼ / グリア細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病患者において脳由来神経栄養因子 (BNDF) の低下や抗うつ剤が薬効を発揮するまでのタイムラグの問題から、神経細胞だけではなくグリア細胞が関連していると考えた。本研究では、グリア細胞において BDNF の発現を増加する天然物に着目し、うつ病様症状の改善を最終目的とする。 研究方法として、植物抽出物ライブラリーを用いアグリア細胞における BDNF の転写活性を指標とするハイスループットスクリーニングを行う。さらにカラムクロマトグラフィーにより活性成分を明らかにした後、BDNFの発現及びうつ病様モデル動物の行動変化から抗うつ作用を検証する。
|
研究実績の概要 |
うつ病患者の死後脳解析から、神経細胞だけではなくグリア細胞であるアストロサイトの密度や活性化マーカータンパク質であるGFAP の低下が見られた。また、うつ病治療剤である fluoxetine がアストロサイトに作用してうつ病の治療効果の拡大や薬効の即効性が明らかにされたことから、うつ病治療にはアストロサイトの関与が示唆された。本研究では、アストロサイトを用い、脳由来神経栄養因子 (BDNF) を増加させる天然物の探索を目的とした。 齧歯類においてBDNFの遺伝子配列には 9 つのプロモーターが存在し、特にBDNF promoter Ⅳ(BDNF pⅣ)が BDNF 発現に重要であると報告されている。そのため、ラット由来の C6 細胞を用い、hBDNFpIV (-204/+320) とルシフェラーゼ遺伝子を融合させたプラスミド(BDNF pⅣ-Luc)を導入し、安定発現株(C6-Luc細胞)細胞を樹立した。この C6-Luc 細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイにより、植物抽出物ライブラリーのスクリーニングを行った。 BDNF 発現を増加させることが知られている resveratrol(Res, 終濃度 10 μM)を C6 - Luc 細胞に 6 時間および 24 時間処理すると、いずれの時間においてもルシフェラーゼ活性が溶媒のみで処理したときに比べ約 2 倍増加した。そこで、Res をポジティブコントロールとして用いることにした。次に、1044 種類の植物抽出物(終濃度 50 μg/mL)を添加して 6 時間後ルシフェラーゼ活性を測定した結果、 56 種類の植物抽出物に発現誘導活性が見られた。56 種類の植物抽出物の中、 7 種類の植物抽出物から再現性が確認された。 今後、7 種類の抽出物を用い内在性の BDNF の発現誘導について確認する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物抽出物が 1 mg/mL (in DMSO) で調整済みのライブラリーが 96 well プレートとして用意してあるため、スクリーニングが容易に行った。今回、ポジティブコントロールの選抜のために、報告されている BDNF 発現を増加させる 5 種類の化合物について検討を行った。その結果、レスベラトロールを用いることとした。また、細胞の数や培養時間などの条件も検討した。現在、RT-qPCR の条件を検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
アストロサイト C6 細胞において BDNF promoter Ⅳ(BDNF pⅣ)活性を示した 7 種類の植物抽出物について内在性の BDNF の発現誘導を確認するため RT-qPCR やウエスタンブロット法で確認する予定である。 内在性の BDNF の発現誘導が確認された植物抽出物について BDNF のプロモーターIV 活性を指標としながら活性を示したフラクションをさらに高速液体クロマトグラフィーにて精製し、化合物を単離する。さらに、単離された化合物ついては核磁気共鳴 (1H-NMR, 13C-NMR, 1H-1H COSY, HMBC, HMQC, NOESY) や 質量分析 (MS) スペクトルデータの解析により化学構造を明らかにする。
|