研究課題/領域番号 |
22K07433
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
奥橋 佑基 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (90734715)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 白血病 / 偽遺伝子 / PTENP1 / siRNA / コンパニオン検査 / がんゲノム医療 / ゲノム医療 / シグナル伝達系 / RNAi |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では偽遺伝子PTENP1の遺伝子発現を抑制または過剰発現を行い、白血病におけるPTENP1の機能を明らかにすることを目的とする。 偽遺伝子が機能を獲得しており、白血病の増殖に関与することが明らかになれば、医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行なわれるコンパニオン診断やがんクリニカルシーケンス検査への応用が期待される。また、白血病の新たなバイオマーカーとして使用できる可能性が示唆される。さらに、細胞増殖への効果が白血病細胞の種類ごとに異なる結果が得られれば、症例ごとの白血病細胞の特性を検出する分子生物学的検査法や症例に応じた分子標的薬を選択することが可能になる。
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研究実績の概要 |
偽遺伝子は「本来の遺伝子に類似した塩基配列で、かつては遺伝子産物をコードしていたと思われるが、塩基が欠損または挿入・重複しているために、遺伝情 報が発現しておらず、現在は遺伝子としての機能を消失しているもの」と定義されている。しかし、近年偽遺伝子が新規の生物学的役割を獲得しており、発がんに多面的に関与しているという報告がある。PTENP1は本当に「偽」遺伝子なのか?白血病細胞の増殖におけるPTENP1の機能が明らかになれば、これまであまり注目されていなかった偽遺伝子に対する研究が推進され、新たな分子標的治療への応用や分子生物学的検査法の開発が期待される。 令和4年度はPTENP1が一部の急性Tリンパ芽球性白血病細胞株において細胞周期を制御している可能性を見出し、偽遺伝子PTENP1が生物学的役割を担っている知見を得ることに成功した。 令和5年度は昨年度の結果を踏まえて、対象となる白血病細胞の種類を増やし、3種の急性骨髄性白血病(AML)細胞株におけるPTENP1遺伝子発現の有無とPTENP1ノックダウンによる細胞増殖への効果を解析した。その結果、用いたすべての細胞株においてPTENP1遺伝子の発現を確認することができた。また、3種のAML細胞株のうち1種類においてPTENP1遺伝子ノックダウンによって細胞増殖の抑制が認められた。これらの結果から、白血病細胞の中でもPTENP1が細胞増殖を制御している細胞と制御していない細胞があることが明らかになった。この結果は白血病患者一人ひとりに合わせたがんゲノム医療の重要性を強調する知見となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想通り、偽遺伝子PTENP1が細胞制御に関与している極めて興味深い結果を得ることができた。令和5年度では、用いたすべての白血病細胞株においてPTENP1の発現が認められたものの、PTENP1が細胞増殖の制御に関与している可能性がある細胞株は一部であることが明らかになった。これは細胞によってPTENP1が作用する分子機序が異なることが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は今回得られた知見をさらに解明すべく、遺伝子、タンパクレベルでの解析ならびにPTENP1を過剰発現させることでも細胞増殖に効果が認められるかについて確認する予定である。これらの結果を踏まえて、PTENP1が白血病に対する新たな腫瘍マーカーとして応用でき得るかを検討する。
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