研究課題
基盤研究(C)
高齢者ではワクチンによる抗体誘導性が減弱していることが問題となっているが、その機序は不明である。DNAのメチル化は老化の中でも免疫や疾患発症に関連する重要な現象であり、単球、CD4等星細胞のDNAメチル化を検討し、抗体誘導性と関連するDNAメチル化及び遺伝子を同定し、蛋白・mRNAの発現解析および細胞の機能解析で確認する。高齢者におけるワクチンの抗体誘導性の減弱の原因を明らかにしたい。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症に対しては、ワクチン接種による感染予防、重症化抑制が世界的な戦略となっている。高齢者ではワクチンによる抗体誘導性が減弱していることが問題となっているが、その機序は不明である。本研究において、ワクチン接種による抗体誘導性が高齢者で減弱する原因を明らかにするとともに、個々の高齢者において末梢血中の免疫担当細胞の解析によるワクチンの効果予測を検証することを目的とする。具体的には、1)SARS-CoV-2ワクチン接種後の抗スパイク蛋白IgG抗体価を測定し、高齢者および若年者それぞれで抗体価高値群と低値群(各群20名、合計80名)を抽出、2)単球、CD4陽性T細胞のDNAメチル化を網羅的に解析、3)DNAメチル化を遺伝子単位でクラスター分析し、抗体誘導性と関連するDNAメチル化および遺伝子を同定、4)被験者の単球、CD4陽性T細胞を利用した蛋白・mRNAの発現解析および細胞の機能解析を行う予定であった。今までのところワクチンに対する反応性と特定の免疫担当細胞のDNAメチル化を比較した報告はない。特にmRNAワクチンは既存のワクチンとは作用機序が大きく異なることもあり研究は意義が大きいと考えられる。初年度となる2022年度はDNAメチル化研究の九州大学倫理審査委員会での承認、対象患者への書面での同意取得、来院、検体採取を行い、可能であれば年度末から被験者の末梢単核球、CD4陽性T細胞でのDNAメチル化の解析を進める予定であった。しかしながら2022年7月から始まった新型コロナ第7波、その後の第8波によって患者来院、同意取得、検体採取のステップが数か月遅れた。
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