研究課題/領域番号 |
22K07458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
廣峰 義久 近畿大学, 医学部, 講師 (30460851)
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研究分担者 |
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 准教授 (90460849)
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | サルコペニア / 糖尿病 / 総合機能評価 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国における高齢糖尿病患者数は著しく増加しており、高齢者の糖尿病治療におけるサルコぺニア・フレイルの予防・管理対策の構築は喫緊の課題である。本研究では、糖尿病患者におけるサルコペニアを構成する体組成および身体機能を規定する遺伝因子を解明することによりサルコペニア発症の分子メカニズムを明らかにし、予知・予防・早期介入につなげることを目的とする。 本研究は2型糖尿病患者に限定せず、1型糖尿病および膵切除後糖尿病を対象に加えた前向き研究である。異なる病型を併せることと前向き観察研究であることで、様々な交絡因子を排除することが可能となり、利点を活かした研究をすすめる。
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研究実績の概要 |
本研究課題のうち、「対象患者のベースラインデータ蓄積」を活用し、成果を得た。 「対象患者のベースラインデータ蓄積」は、高齢者の医療と生活機能を評価する際に必要な総合機能評価(CGA-7:comprehensive geriatric assessment-7、DASC-8:Dementia Assessment Sheet in Community-based Integrated Care System-8 items)、認知機能検査(改定長谷川式簡易知能評価、MMSE:Mini-Mental State Examination)、およびADL評価(Barthel index、IADL:Instrumental Activities of Daily Living)のデータを有している。高齢者糖尿病患者における総合機能評価の有用性の検証は必ずしも十分とはなっていないことから、本研究のデータベースを用いて検証を行った。 高齢者糖尿病患者のDASC-8スコアは年齢と正の相関を認め、各カテゴリーの割合はⅠ 72.3%、Ⅱ 23.4%、Ⅲ 4.3% であった。高齢者糖尿病においてもDASC-8によるカテゴリー分類は、MMSE、改定長谷川式簡易知能評価、Barthel index、IADLを用いた詳細な認知機能・日常生活尺度と良い相関を示した。 また、DASC-8とCGA7はMMSE、改定長谷川式簡易知能評価による認知症診断において感度・特異度とも大差なかったが、ADLの診断においては、CGA7では高い特異度を示したものの低い感度を示した。これらの結果より、高齢者糖尿病における生活・身体機能、認知機能のそれぞれの評価指標間における関連性が明らかとなった。 学会報告:廣峰義久 他:第65回日本老年医学会学術集会, 2023、廣峰義久 他:第120回日本内科学会総会・講演会, 2023
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度内に、「対象患者のベースラインデータ蓄積」「対象患者のフォローアップ調査の実施」について、データ蓄積およびフォローアップ調査の実施を完了した。 「病型別サルコペニア指標の比較解析」および「サルコペニア規定因子と病態との関連解析」については、前述のようにデータ蓄積および調査の実施が完了したことから、関連解析に必要な生体資料と臨床情報を収集できており、必要時使用できる状態となっている。 「サルコペニア新規進展予知マーカーの同定・検証」については、解析によりサルコペニアを規定する因子を同定できしだい、有用性の検証を開始する。 また、「対象患者のベースラインデータ蓄積」の基盤データを活用して、高齢者の医療と生活機能を評価する際に必要な因子の解析を行った。高齢者糖尿病における生活・身体機能、認知機能のそれぞれの評価指標間における関連性について、結果を得たため、報告を行った(学会報告:廣峰義久 他:第65回日本老年医学会学術集会, 2023、廣峰義久 他:第120回日本内科学会総会・講演会, 2023)。 以上の進捗状況から、総合的にはおおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には「糖尿病患者におけるサルコペニアの候補因子と病態との関連解析」に関して成果を得て発表を行い、2023年度には「高齢者の医療と生活機能を評価する際に必要な因子の解析」に関して成果を得て発表を行った。2024年度には、サルコペニアを規定する因子の同定と有用性を検証すべく、研究を推進する。 「対象患者のベースラインデータ蓄積」「対象患者のフォローアップ調査の実施」 の登録時およびフォローアップ調査で得られたデータの解析では、サルコペニアを規定する因子の同定には至っておらず、得られた生体資料を用いてサイトカインや遺伝子を併せて分析し、サルコペニアを規定する因子を同定していく。サイトカインの定量は、Luminex解析(マルチプレックスサスペンションアレイ)を用い、ベースラインでのサルコペニア発症や骨格筋量・身体機能から強い関連を示すサイトカインを抽出する。ベースラインのデータを使用した横断的解析に加え、フォローアップのデータを使用した縦断的解析も加え、因果関係の明確化を行う。遺伝子検査については、ゲノムワイド関連解析で骨格筋量と関連が示唆された領域や骨格筋・身体機能と関連が報告された報告から遺伝子多型を抽出し、サルコペニア発症や骨格筋量・身体機能との関連解析を行う。ベースラインのデータを使用した横断的解析に加え、フォローアップのデータを使用した縦断的解析も加え、因果関係の明確化を行う。これらの結果得られたサルコペニアを規定する候補因子については、前向き観察研究の利点を活かし、因果関係の明確化とともに、予測マーカーとして適切であるかの検証を行う。1型および2型糖尿病におけるサルコペニア発症のコホート研究を多施設共同研究で行い、さらに関連施設では健常者をふくむ高齢患者におけるサルコペニア発症のコホートを行っており、準備が整い次第、多数例での検証を行うことが可能である。
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