研究課題/領域番号 |
22K07466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大川 龍之介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50420203)
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研究分担者 |
亀田 貴寛 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (80758558)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アポリポタンパク転送 / 中性脂肪代謝 / アポリポタンパクC-II / アポリポタンパクC-III / 高比重リポタンパク / 超低比重リポタンパク / リポタンパクリパーゼ / リポタンパク / アポリポタンパク / 転送 / 脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
アポリポタンパク(apo)は,高比重リポタンパクや超低比重リポタンパク,低比重リポタンパクなどのリポタンパクに存在する様々なタンパクの総称であり,脂質代謝に重要な役割を担う.循環血液中,各リポタンパク間でapoは双方向に転送されるが,一部のapoに関して,同種においても局在するリポタンパクによって脂質代謝に関する真逆の生理作用を発揮する.したがって,本研究ではapoの転送量の評価方法を開発,その転送の程度や要因(リポタンパクの脂質組成,修飾など),転送の程度がリポタンパクの機能に与える影響を調べ,現在の脂質の定量検査に加えて,より早期の脂質代謝異常の予測や原因究明を目指していく.
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研究実績の概要 |
・リポタンパク間のアポリポタンパクC-IIおよびC-III転送率の定量法の開発 生体内における内因性トリグリセライドを代謝するリポプロテインリパーゼの活性は超低比重リポタンパク(VLDL)中のアポリポタンパク(apo)C-IIによって促進され,apoC-IIIによって抑制されるが,これらのapoC群は高比重リポタンパク(HDL)との間で相互に転送されることが報告されている.したがって,HDL-VLDL間のapoC群の転送はTGホメオスタシスに深く関与すると考えられ,apo転送率測定法の開発を手掛けている. ビオチンで表面apoを標識したHDLを未標識VLDLと混和し,37℃,20時間インキュベートさせ,apo転送(HDL→VLDL)を行った.その後,超遠心によりHDLとVLDLを再分離し,それぞれのビオチン標識apoを定量した.この標識apoを定量するためのビオチン・アビジンシステムELISAの確立に関して,課題であった点(ビオチン標識条件,併行精度,直線性など)を改良し,良好な性能を得た.その上で,上記の試料を用いてHDL-VLDL間の転送率を解析した.結果,HDLからVLDLへの転送率は,apoC-IIは約60%,apoC-IIIは約50%であり,また逆方向の転送率は,apoC-IIは20%未満,apoC-IIIは約30~50%であることが明らかになった. HDL-VLDL間のapo転送率の測定性能が向上し,実際に,apoC-II,apoC-IIIの転送に関して,方向により転送率が異なる傾向があることを見出した.今後はapo転送とTG代謝との関連を明らかにするため,様々な条件下での転送実験を行う予定である.また,評価に用いるVLDLの簡易な分離方法などについても現在検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題であった,ビオチン・アビジンシステムELISAによるアポリポタンパク転送率測定の性能について,性能向上を実現した.これにより,今後,HDLやVLDLの混和条件,転送率の個人差など,具体的な測定が可能となった.また,計画にあるパラオキソナーゼ1の各リポタンパクの活性測定などについても併行して進めており,上記の測定法を利用して,新たな知見が得られるものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
アポリポタンパクC-IIおよびアポリポタンパクC-IIIの高比重リポタンパク(HDL)と超低比重リポタンパク(VLDL)間の転送および逆転送率の評価が可能となった.今後は,HDLやVLDLの混合比,反応時間などを変更し,転送現象のメカニズムの詳細を明らかにしていく.また,HDLやVLDLは健常者においても個人差が認められるため,各個人の転送率を測定し,転送に関わる要因を検索する.併行して進めているパラオキソナーゼ1についても,三種の活性が分布しているリポタンパクで変化することを示唆するデータが得られており,上記の転送と合わせることで,HDLの抗粥状動脈硬化能の一つ抗酸化能に重要な役割を担うパラオキソナーゼ1の各リポタンパクとの関りについて調べていく.また,中性脂肪代謝に関して,前年度に確立した被水解率測定法を用いて,上記のリポタンパクリパーゼの活性制御に関わるアポリポタンパクC-IIおよびC-IIIの転送が実際の中性脂肪代謝にどのように関わるか,明らかにする予定である.
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