研究課題/領域番号 |
22K07472
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山城 安啓 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50243671)
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研究分担者 |
亀崎 豊実 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (90316513)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自己免疫性溶血性貧血(AIHA) / IgG1 / IgG3 / Coombs試験 / フローサイトメトリー / AIHA / IgGサブクラス |
研究開始時の研究の概要 |
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、赤血球に対する自己抗体が産生され溶血を来たす後天性の溶血性疾患である。この診断には溶血所見とCoombs試験が用いられているが、Coombs試験は感度が低いため治療効果の判定が困難で、Coombs陰性AIHAが17%存在する。AIHAを正確に診断するためには、高感度に赤血球結合総IgG量が測定できるだけではなく、IgGのサブクラス別の定量が重要である。 本研究は、溶血に関係の深いIgG1, 3や補体第3成分のフローサイトメトリーによる測定法を確立し、各定量結果と病態との関係性を精査する。これにより、新たなAIHAの診断基準を確立し、病態解明にも貢献する。
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研究実績の概要 |
フローサイトメトリーによる赤血球結合IgGのサブクラス別定量法を確立することを目指した。 ①当初予定していた福山臨床検査センターの研究協力者の体調不良による退職のため、BeckmanCoulter CytoFLEXから山口大学医学部保健学科に設置してあるMACSQuant Analyzer10で解析を行うこととなった。まずサブクラス別測定をするための基礎技術である赤血球結合IgG定量法の技術の獲得と信頼性のあるデータを出すためのトレーニングから始めた。健常検体と主治医からインフォームド・コンセントが得られ赤血球結合IgG定量検査目的で福山臨床検査センターに送付された検体を用いて検討を行った。福山臨床検査センターの検体は冷蔵で山口大学に輸送してもらった。使用した抗体は福山臨床検査センターで使用している抗体と同じものを使用した。結果は、機種間の違いにより測定値が約10倍違うが、関連性のある値が得られた。検体の古さにより、若干結果が乖離する検体があったため、原因を追求する必要がある。 ②赤血球結合IgGのサブクラス別定量を行うため、IgG1およびIgG3抗体を3つのメーカーから購入した。市販されている抗体は、メーカーにより結合性の違いから分布と平均値にかなりの差が認められ、結果が異なってくるため、種々の抗体を調べ、高感度で特異性の高い抗体を検索する必要がある。また、使用する抗体量や反応温度、時間などの最適化が必要である。現在、この抗体を用いて健常検体を測定し、使用可能かどうか検討中であるが、低値であるため高値検体の測定が必要である。 ③福山臨床検査センターに送られてきた検体はCoombs試験陰性のAIHA疑いの検体であるため、先天的な異常を除外するため、グロビン遺伝子定量やシーケンシングにより確認をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定したいた研究協力者の退職により、測定機種の変更による条件検討や測定者のトレーニングのため時間が必要となった。幸い、血球結合IgGの測定法を確立した際のプロトコールや福山臨床検査センターのプロトコールも参照できたため、移行手続きはスムーズであった。しかし、2機種間でのデータの比較など基礎的な検討に時間を要した。検体調整や抗原抗体反応などの手技がデータに大きく影響するため、技術の獲得と定着に時間を要した。健常人検体を用いてサブクラス別定量を行っているが、低値であるため高値検体を測定する必要がある。福山臨床検査センターに送られてくるAIHAの検体数がコンスタントでないため、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者(インドネシア人)の血球結合IgG測定の技術力が定着してきたため、本研究の目的である血球結合IgGのサブクラス別定量法の確立を本格的に進める。ただ、研究協力者の勤務が2日/1週間であるため、進行速度が遅い。そこで、勤務時間の見直しを行うと同時に他の研究協力者を養成する。これにより、健常者約100名を用いた血球結合IgG(トータル)と血球結合IgGのサブクラス別定量を行い、基準値(カットオフ値または基準範囲)の設定を行う。また、福山臨床検査センターに送られてくる検体測定を行い、Coombs試験陰性AIHAとAIHAの違いや、溶血の原因となる結合IgGのサブクラスの特定を行いたい。できれば、新たな温式AIHAの診断基準を設定したい。
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