研究課題/領域番号 |
22K07473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
藤田 浩二 香川大学, 医学部, 助教 (50749421)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 薬剤耐性 / ヒスチジン / プロテオーム解析 / Microarray / 耐性 / 肝細胞癌 / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は国立大学医学部附属病院消化器内科にて,肝臓専門医として肝細胞がんの症例 の診療に従事している.受容体チロシンキナーゼ阻害薬の登場により,肝細胞がん例の生存率は改善したが,それでも受容体チロシンキナーゼ阻害薬にて根治する肝細胞癌例は,全体 の 1-2%に過ぎない.申請者の勤務する診療科においては,レンバチニブで根治した症例は,現在までのところ,わずか一例しかない.本研究においては,タンパク質をコードしないmiRNAという分子に着目し,薬剤耐性のメカニズムに作用するmiRNAを同定し,治療への応用の基礎的データを提示することを目的としています.
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研究実績の概要 |
2022年度において,レンバチニブ耐性肝がん細胞に対するカボザンチニブの有効性をin vitro及びin vivoで明らかにした.マウス皮下に移植した腫瘍のmiRNAの網羅的解析から,カボザンチニブ投与によって有意に変動する10種類のmiRNAを同定した.しかし,miRNAのtransfectionによる機能解析の結果,腫瘍の増殖抑制に寄与するmiRNAは無かった.またマウス皮下に移植した腫瘍のタンパク質も網羅的に解析(プロテオーム解析)した.2023年度は,このプロテオーム解析の結果を踏まえて研究を進めた.カボザンチニブ投与群において対照群と比べて発現の増加しているタンパク質が35分子あった.このうち,TCGAデータベースにて肝細胞癌例の良好な予後と相関するとされるたんぱく質が3種類あった.そのうちの一つ,FTCDに着目した.マウス皮下に移植した腫瘍組織の免疫染色とWestern blotを行うと,カボザンチニブ投与群にておいて対照群に比べて,FTCDの発現が亢進していた.W細胞株での検討にて,野生型肝がん細胞株がレンバチニブ耐性を獲得するとFTCDの発現は低下し,耐性株にカボザンチニブを投与するとその発現は回復した.以上から,FTCDの発現はレンバチニブに対する耐性獲得及びカボザンチニブ感受性と相関していることが分かった.FTCDの生理的機能は,ヒスチジン代謝及びプリン体合成への関与である.神戸大学質量分析センターに依頼し,肝がん細胞株のメタボローム解析をした結果,レンバチニブ耐性株にカボザンチニブを投与すると,細胞内のヒスチジン濃度が有意に上昇することが分かった.以上の結果から,レンバチニブ耐性肝がん細胞におけるカボザンチニブの感受性に,FTCDの発現の変化とヒスチジン代謝経路の変化が相関していることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,miRNAの網羅的解析を行い,negative studyとなったが,プロテオーム解析を追加し,レンバチニブ耐性及びカボザンチニブ感受性と相関するタンパク質を同定することが出来た.メタボローム解析を追加した結果,化学療法感受性とアミノ酸代謝経路の変化の相関に新たに着眼することでできた.以上の内容で論文原稿をまとめて,現在査読有りの英文雑誌に投稿し,査読中の状態である.研究予算をまだ100万円以上残しているので,査読の結果データの追加が必要になれば,追加する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
以上の内容で論文原稿をまとめて,現在査読有りの英文雑誌に投稿し,査読中の状態である.研究予算をまだ100万円以上残しているので,査読の結果データの追加が必要になれば,追加する予定である.特に,FTCDの発現プラスミドを構築し,肝癌細胞に遺伝子導入し,gain of function を評価することが望ましい.
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