研究課題/領域番号 |
22K07487
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
北川 文彦 藤田医科大学, 医学研究科, 研究員 (70624401)
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研究分担者 |
石井 潤一 藤田医科大学, 医学部, 客員教授 (70222940)
成瀬 寛之 藤田医科大学, 医療科学部, 教授 (50319266)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 可溶性血小板活性化受容体(sCLEC2) / リポプロテイン(a) / 急性腎障害 / 心臓内科系集中治療室 / 血小板活性化マーカー / 予後 |
研究開始時の研究の概要 |
通常の採血手法により測定可能な新しい血小板活性化マーカー“soluble C-type lectin-like receptor 2(sCLEC-2)”の測定系が開発された。 本研究では『心疾患患者の実態調査および生化学マーカーと予後に関する検討』に参加された症例の内、心臓内科系集中治療室に入室した1500例の入室時残存検体を用いて血漿sCLEC-2濃度を測定する。血漿sCLEC-2濃度と心血管疾患の重症度、急性腎障害の発症・進展の有無、抗血小板剤などの薬剤使用や12ヶ月予後との関連について検討し、心臓内科系集中治療室入室時のsCLEC-2測定の臨床的意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度に通常の採血管と採血手技により測定可能な新しい血小板活性化マーカー“soluble C-type lectin-like receptor 2(sCLEC2)”は急性腎障害発症の独立した規定因子であることを明らかにした。一方、リポプロテイン(a)はプラスミノゲンと相同性の高いクリングル4構造を有するため、プラスミノゲン受容体に対するプラスミノゲンの結合を競合的に阻害し、線溶抑制に作用する事が知られている。しかし、リポプロテイン(a)と急性腎障害発症との関係は十分に検討されていない。本年度(2023年度)は心臓内科系集中治療室入室患者1000例(急性冠症候群 47%、非代償性心不全 39%)を対象に、リポプロテイン(a)、sCLEC2、B型ナトリウム利尿ペプチド、高感度トロポニンT、高感度C反応性蛋白および酸化ストレスマーカーである酸化リポプロテイン(a)と急性腎障害発症との関係を検討した。 結果は、リポプロテイン(a)とsCLEC2は有意な相関関係を認めなかった。一方、リポプロテイン(a)は酸化リポプロテイン(a)と中等度の相関関係を認めた。急性腎障害は182例(18%)に発症した。急性腎障害例における非代償性心不全の割合は非発症例に比べて高く、リポプロテイン(a)、sCLEC2、B型ナトリウム利尿ペプチドと酸化リポプロテイン(a)は高値であった。一方、血色素量と推定糸球体濾過値は低値であった。単変量ロジスティック解析ではリポプロテイン(a)とsCLEC2はともに有意な急性腎障害発症の規定因子であった。しかし、多変量解析ではリポプロテイン(a)ではなくsCLEC2のみが有意な独立した規定因子であった。これらの結果からsCLEC2は心臓内科系集中治療室入室患者における急性腎障害発症リスクの評価にリポプロテイン(a)より有用であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、先行研究である『心疾患患者の実態調査および生化学マーカーと予後に関する検討』に参加された1500例の保存検体と、データベースに入力してある患者背景、心血管疾患の重症度と臨床検査パラメーターを用いた。2022年度と2023年度にsoluble C-type lectin-like receptor 2(sCLEC2)、リポプロテイン(a)、B型ナトリウム利尿ペプチド、高感度トロポニンT、高感度C反応性蛋白および酸化リポプロテイン(a)の測定を終えた。2022年度に急性腎障害の診断は終了している。本年度(2023年度)はリポプロテイン(a)と急性腎障害との関係を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、対象患者における短期(6ヶ月)予後の調査を行っている。エンドポイントは全死亡、複合エンドポイントは心血管死と維持透析導入である。2024年6月までに短期予後の調査を終える予定である。 2024年度にsoluble C-type lectin-like receptor 2(sCLEC2)、リポプロテイン(a)、B型ナトリウム利尿ペプチド、高感度トロポニンT、高感度C反応性蛋白および酸化リポプロテイン(a)と短期予後との関係を検討する。特に、sCLEC-2と短期予後との関係を明らかにする。さらに複数のバイオマーカーを組み合わせた短期予後の予測モデルの構築を試みる。 一方、心筋トロポニンと同等の心筋特異性を有し、しかも心筋含量が心筋トロポニンより多い心筋ミオシン結合蛋白Cの測定キットが登場した。心筋ミオシン結合蛋白Cは急性心筋梗塞の早期トリアージに高感度心筋トロポニンより適していることが示されている。しかし、非急性冠症候群における心筋ミオシン結合蛋白Cの臨床的意義に関しては十分に検討されていない。非急性冠症候群患者における心筋ミオシン結合蛋白Cと高感度トロポニンTの測定は終了しているので、2024年度に短期予後予測における心筋ミオシン結合蛋白Cの有用性を高感度心筋トロポニンTと比較検討する予定である。
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