研究課題/領域番号 |
22K07492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
下畑 享良 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60361911)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | IgLON5 / 神経変性疾患 / 進行性核上性麻痺 / 大脳皮質基底核症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
神経変性疾患(PSP/CBS)における本症の頻度と臨床像を明らかにしたのち,神経変性疾患(MSA/ ALS)および睡眠疾患における本症の頻度と臨床像を明らかにする.さらに神経変性疾患の表現型を呈する抗IgLON5抗体関連疾患の臨床診断基準を作成する.また免疫療法が行われた症例での免疫療法奏効率と治療反応予測因子を同定する.最後に免疫染色陽性,抗IgLON5抗体陰性症例の臨床像を検討し,新たな自己抗体の同定につなげる.
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研究実績の概要 |
診断基準を満たす進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy;PSP)または大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome;CBS)患者において、IgLON5抗体関連疾患の有病率を確認することを目指した。このためにPSPとCBSの縦断的バイオマーカー研究(JALPAC)に登録された360名の被験者を対象とした。全例において、PSPの各サブタイプ、すなわちリチャードソン症候群を伴うPSP(PSP-RS: Richardson syndrome)、パーキンソニズムを伴うPSP(PSP-P: parkinsonism)、純粋無動を伴うPSP(PSP-PAGF: pure akinesia gait freezing)、小脳性運動失調を伴うPSP(PSP-C: prominent cerebellar ataxia)の診断基準、改訂ケンブリッジ基準、CBSのアームストロング基準に従って年齢、性別、診断名を検討した。この結果、JALPACの対象者360名のうち、223名がPSP/CBSの可能性または可能性のある診断基準のうち少なくとも1つを満たすことを確認した。これら223名の年齢中央値は73歳(範囲51-88)、123名(55%)は男性であった。本年度は全例のcell-based assayによる抗IgLON5抗体の測定を完了した。結論として全例抗体陰性であることを確認した。この意義は大きく、診断基準を満たす典型的なPSP/CBS患者において、この疾患は存在しないか極めてまれであることが示唆された。一方、JALPAC以外の検体でIgLON5抗体関連疾患を4例同定している。1例は大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome; CBS)、残り3例は一時、多系統萎縮症小脳型(multiple system atrophy cerebellar type; MSA-C)と診断されている。現在、臨床像や経過を解析中であるが、本邦におけるIgLON5抗体関連疾患はMSA-C型の臨床像を呈することが多いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
JALPACに登録された症例の臨床情報を入手し、また診断基準についての照合も終了し、病型分類も確認できた。またcell based assayも順調に進み終了し、学会での発表も行なった。現在、論文の執筆中である。また本症のHLA解析に関して、本研究がきっかけとなり、米国Stanford大学との共同研究も開始された。
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今後の研究の推進方策 |
JALPAC以外の検体も含め、抗IgLON5抗体陽性例の経過、症候(運動異常症、睡眠障害、球麻痺、診断基準上の病型)、HLA、髄液所見、画像所見を検討する.また免疫療法が行われた症例での免疫療法奏効率と治療反応予測因子を同定する.
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