研究課題/領域番号 |
22K07499
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
今村 友裕 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 講師 (30725122)
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研究分担者 |
山下 謙一郎 国際医療福祉大学, トランスレーショナルニューロサイエンスセンター, 准教授 (00596687)
大八木 保政 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (30301336)
吉良 潤一 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (40183305)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / バイオマーカー / エキソソーム / マイクロRNA / 毒性ターンAβ / 毒性ターンアミロイドβ蛋白 / microRNA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、まず軽度認知障害やアルツハイマー病(AD)の早期診断バイオマーカーとなるエキソソーム含有のmicroRNAを同定し、Aβ40、Aβ42、毒性ターンAβ、t-tau、p-tauと組み合わせることで、AD早期診断のためのindexを作成する。また、これらの継時な変化を臨床データ、機能的MRI画像と合わせて解析し、病態進展との関連を明らかにする。次にエキソソームを中枢神経細胞の由来ごとに分離し、臨床データ、画像データなどとと合わせて解析し、進行の予測因子を同定する。さらにADモデルマウスの神経細胞やグリア細胞を用いた培養実験を行い、エキソソームのAD病態における役割を解明する。
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研究実績の概要 |
遺伝子改変ADモデルマウスの末梢血エキソソームを用いて、micro RNA (miR)シークエンスを行うことによって、次世代シークエンスの結果、AD発症前のADモデルマウスと野生型マウスではmiRの発現プロファイルが異なっていた。野生型マウスと比較してADモデルマウスで1つのアップレギュレーションされたmiRと5つのダウンレギュレーションされたmiRを同定した。さらに物忘れ外来における実際のヒトサンプルを用いて、ヒトで同様の変化があるかを検証した。アルツハイマー病(AD)と診断した患者群15名、および健常(HC)および他の神経疾患(OND)の対照群15名から同意を得て血液サンプルを収集し、マウスで同定したmiRを対象にリアルタイムPCRによる定量を行った。AD患者においても同様の変化が確認された。また、アップレギュレーションされていたmiRは、神経心理検査による疾患重症度と関連していた。アップレギュレーションされていたmiRと、最もダウンレギュレーションされていたmiRの比によるAD診断indexを作成し、疾患重症度と比較したところ正の相関が確認された。さらに、カットオフ値による診断の特異度、感度は脳脊髄液中のアミロイドβやリン酸化タウによる診断能力を上回る結果であった。バイオマーカー候補となるmiRを組み合わせたindexは、AD診断に有用であり、今後の認知症診療を大きく変える可能性がある。これらの研究成果は、第63回日本神経学会学術大会、第12回国際医療福祉大学学術大会、第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会[合同開催]で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ADモデルマウスの血清エキソソームから、バイオマーカー候補として同定したマイクロRNAは、AD患者においても同様に変化していることが確認された。さらに、これらのマイクロRNAを用いたバイオマーカーの感度・特異度は、従来より用いられている脳脊髄液中のアミロイドβやリン酸化タウと比較しても遜色がないことが確認された。AD患者群においては、十分な症例数が確保できたが、健常対照群の症例数は予定数よりやや少なくなった。また、マイクロRNA以外のAβ40、Aβ42、毒性ターンAβ、総タウ蛋白(t-tau)、リン酸化タウ蛋白(p-tau)の測定は予定よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
AD患者および健常コントロールの症例数をさらに増やしていく予定である。血液中のマイクロRNA以外のAβ40、Aβ42、毒性ターンAβ、総タウ蛋白(t-tau)、リン酸化タウ蛋白(p-tau)などの測定を行い、それらを組み合わせて、AD診断に最も最適なindexを作成する。また、神経心理検査の結果や、頭部MRI画像やSPECT画像などの臨床データの関連を解析を進めて、マイクロRNAによるバイオマーカーが臨床データをどのように反映しているのかを調べて、その意義について明らかにしていく。さらに、培養細胞による実験を行い、AD病理におけるマイクロRNAの役割についての基礎的な研究も展開して予定である。
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