研究課題/領域番号 |
22K07503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
磯尾 紀子 帝京大学, 医学部, 講師 (90548330)
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研究分担者 |
林 俊宏 帝京大学, 医学部, 教授 (60505890)
磯尾 直之 帝京大学, 医学部, 講師 (80420214)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / エクソソーム / タウ / 輸送機構 / 脳内伝播 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病における病原性タンパク質タウの脳内伝播を担うエクソソームには輸送先を規定する特性が備わっており、輸送先を規定する因子が存在するという仮説を検証するため、細胞内タウ凝集体の形成誘導が可能な細胞株をアルツハイマー病の疾患モデル細胞として新しく樹立し、その細胞から放出されるエクソソームの特性を疾患モデルマウスを用いて解析することによってタウの脳内伝播を担うエクソソームを同定した上で、タウの輸送先を規定する因子を探索・同定する。さらに輸送先規定因子を標的とした治療法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究は、アルツハイマー病における病原性タンパク質であるタウの脳内伝播を担うエクソソームを同定し、その輸送先を規定する特性を明らかにするとともに、その輸送経路を特異的に遮断する方法を開発することを目的としている。当該年度は、NanoSightを用いた粒子径測定や電顕像観察によりヒトP301S変異型タウを発現するNeuro2a細胞から精製・回収したタウ内包エクソソームがエクソソームとしての形態学的特徴を保持していることを確認した。さらに密度勾配遠心法を用いた分画による生化学的解析の結果、エクソソームに内包されるタウがAnnexin A2とよく局在が一致すること、タウが内包されることによりAnnexin A2がより密度の小さい画分へ集積することを見出した。このタウとAnnexin A2の局在パターンはエクソソームマーカータンパク質であるCD9/63/81の局在パターンとは一致せず、タウはAnnexin A2と共に古典的なエクソソームとは異なるエクソソームに内包されることが示唆された。また、タウ内包エクソソームをDiI等の脂溶性色素による膜の蛍光標識を行った上で神経細胞の培養上清中へ添加し、細胞へのuptake能をライブセルタイムラプスイメージングにより解析した。タウ内包エクソソームは経時的に細胞内へとuptakeされることが明らかになり、神経細胞から放出された後に神経細胞へとuptakeされる点で細胞間輸送への関与が示唆された。この膜を蛍光標識したタウ内包エクソソームを野生型マウスの海馬CA3領域に注入したところ、7日後にはCA1の神経細胞の投射先である海馬台の神経細胞内にエクソソームの蛍光と共にタウの局在が確認でき、CA3の神経細胞からCA1の神経細胞を介して海馬台へと細胞間輸送が生じたものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに樹立したヒトP301S変異型タウを発現するNeuro2a細胞由来のタウ内包エクソソームについて形態学的・生化学的解析を行った結果、エクソソームとしての特性を保持していることが確認され、in vitroおよびin vivoでの検証により細胞間輸送への寄与も明らかになりつつある。また、LC/MS-MSによるタウ内包エクソソームのプロテオミクス解析を実施中であり、エクソソームの輸送機構の解明を目指した研究が進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、細胞内でタウ凝集体を形成する疾患モデル細胞株の作製を進めており、この細胞由来のエクソソームには細胞死を惹起する病原性を獲得したタウが多く内包されることが期待される。そこでこの病原性タウ内包エクソソームの特性についての解析をin vitro、in vivoの両面で進め、細胞間輸送機構を明らかにしていく。
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