研究課題/領域番号 |
22K07510
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
平野 牧人 近畿大学, 医学部, 教授 (50347548)
|
研究分担者 |
竹原 俊幸 近畿大学, 大学病院, 助教 (60580561)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | iPS細胞 / 運動ニューロン / ALS / 小脳失調症 / SCA8 / 核酸治療薬 / 筋萎縮性側索硬化症 / リピート病 / 病態解明 / 治療法開発 |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉が萎縮する予後不良の神経難病である。根治療法確立のためには原因探索が重要である。私たちは、先行研究として様々なnon-coding RNA反復配列に関連する遺伝子を解析し、脊髄小脳萎縮症8型(SCA8)原因遺伝子の反復配列延長が孤発性ALSの約3%に認められることを発見し、報告した(Neurol Genet 2018;4:e252)。本研究では反復配列に関連するALSの病理組織の解析と遺伝子発現プロファイルの同定、患者iPS細胞由来の運動ニューロンを用いて、TDP43病理と関連するRNA・蛋白代謝異常の関連を明らかにし、治療薬開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
本研究では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関する、遺伝子のリピート配列伸長が病因となるSCA8の原因遺伝子ATXN8OS/ATXN8、SCA2の原因遺伝子ATXN2、未発表の遺伝子Xの反復配列を有するALS患者由来の運動ニューロン(iMN)モデルを確立して、病理組織での確認を行いつつ、治療法開発を行う。 患者由来iPS細胞の樹立に関しては、SCA8原因遺伝子変異陽性ALSのiPS細胞を樹立し、さらに運動ニューロン(iMN)への分化も成功した。さらに、この患者由来iMNでは軸索の伸長が不十分であり、細胞死も増加した。また、SCA2の中間長を有する患者や、遺伝子Xのリピート異常伸長を有する線維芽細胞も樹立しており、iPS細胞への誘導を行った。SCA8関連iMNにおいて、異常伸長RNA fociとRAN翻訳の検出を行い、どちらも検出された。特に、リン酸化TDP43と異常伸長したRNA fociとの共在が判明した。患者病理組織に関しては、SCA8関連ALSの剖検脊髄において、これまで報告のなかったRAN翻訳蛋白の凝集が検出された。 iMNにおいて、形態変化や免疫染色をマーカーとして、siRNAによる実験的治療を行った。この結果、SCA8関連iMNでは、細胞死の抑制が観察された。以上から、このiMNは疾患の細胞モデルとして使用できると考えられる。このように本研究では、SCA8関連ALSの治療方法を探索できる系を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SCA8関連ALSについては、細胞モデルの確立が終了し、治療実験も行っている点から、予定よりも、早いペースで研究が進んでいる。また、実験的治療方針に関しては、遺伝子発現抑制を行う方向で決定した。一方、SCA2や遺伝子Xに関しては、iMNの確立がまだであるため、少し予定よりも遅れている。全体としては、順調な進捗状況と考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
SCA8関連iMNでは、細胞死の抑制が観察されたが、さらにそれがRNA fociの抑制によるのか、RAN翻訳低下によるのかを検討する。SCA2の中間長を有する患者や遺伝子Xの異常伸長を有する線維芽細胞も樹立しており、iPS細胞が作製された。核型解析にて異常が無いことが確認され次第、SCA8と同様にiMN誘導、治療実験に移行する。
|