• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

パーキンソン病における慢性脳低灌流のエピジェネティック制御を介した神経保護効果

研究課題

研究課題/領域番号 22K07512
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52020:神経内科学関連
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

間野 達雄  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第四部, 室長 (20704331)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
キーワードパーキンソン病 / エピゲノム / 慢性虚血 / 神経変性疾患 / 動脈硬化 / 血管リスク / マウスモデル
研究開始時の研究の概要

疫学研究から血管リスクがパーキンソン病発症リスクを軽減することが示されており、このような減量の分子メカニズムを明らかにする。そのために、慢性脳虚血をマウスモデルとして作成し、αシヌクレイン代謝に対する影響を解析する。とくに慢性脳虚血に対する反応は、細胞種ごとに異なっており、細胞ごとの解析をエピゲノムレベルで行うこととする。得られたゲノムワイドデータをもとに、慢性脳虚血がどのようにしてαシヌクレイン代謝を変化させているかを理解し、細胞モデルでのより詳細な検討、実際のヒト検体を用いたモデル解析の妥当性評価を合わせて行う。

研究実績の概要

パーキンソン病において、血管リスクが発症リスクを減らすという疫学データがあり、その現象の分子メカニズムを理解するために、マウスモデルを用いた実験を行った。シヌクレインの線維状態をマウスの脳内に注入し、マイクロコイルを用いて総頸動脈を狭窄させることで、シヌクレイン病理の改善が確認された。この結果をもとに、マイクロコイルを用いた総頸動脈狭窄の影響を調べるために、神経細胞特異的なエピゲノム解析を行った。
孤発性神経変性疾患は遺伝的背景と後天的要因が複雑に関連し合って病態を形成しているため、エピゲノム変化から病態を理解することが重要である。従来の脳全体を用いたエピゲノム解析では、個々の細胞における変化への感度が乏しいという問題点があった。そこで、本研究では、神経細胞特異的なATAC-seq解析を行い、ゲノムワイドに起きている現象を明らかにすることを目的とした。
解析の結果、マイクロコイルを用いた総頸動脈狭窄がHIF1Aを介して神経細胞のエピゲノム状態に影響を与え、HIF1A依存的オートファジーを誘導することでシヌクレイン病理を改善する可能性が示唆された。この結果は、血管リスクがパーキンソン病の発症リスクを減らすメカニズムの一端を説明するものであり、孤発性神経変性疾患の病態理解に役立つと考えられる。今後は、HIF1A依存的オートファジーの詳細なメカニズムを解明し、パーキンソン病の新たな治療戦略の開発につなげていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は、当初の計画通りに順調に進展している。前年度までに確立したマウスモデルを用いて、本年度は神経細胞特異的なエピゲノム解析を行った。その結果、マイクロコイルを用いた総頸動脈狭窄がHIF1Aを介してシヌクレイン病理を改善する可能性が示唆された。この成果は、血管リスクがパーキンソン病の発症リスクを減らすメカニズムの一端を説明するものであり、孤発性神経変性疾患の病態理解に役立つと考えられる。現在までの進捗状況は、当初の計画通りであり、順調に研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

今後は、HIF1A依存的オートファジーの詳細なメカニズムを解明するため、さらなる検討を行う予定である。具体的には、HIF1Aによるオートファジー関連遺伝子の発現制御や、オートファジーの活性化がシヌクレイン病理の改善にどのように寄与しているかを明らかにする。また、モデルマウスを用いたシングルセル解析を行い、総頸動脈狭窄の影響を受けた神経細胞の特性を詳細に解析する。これにより、血管リスクがパーキンソン病の発症リスクを減らすメカニズムをより深く理解することができると期待される。これらの研究を通じて、パーキンソン病の新たな治療戦略の開発につなげていく。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Anti-neurofascin 155 Antibody-positive Neuropathy in a Human Immunodeficiency Virus-infected Patient2024

    • 著者名/発表者名
      So Okubo, Tatsuo Mano, Atsushi Sudo, Ryoji Goto, Satoka Yano, Manato Hara, Hiroyuki Ishiura, Wataru Satake, Shintaro Yanagimoto, Hidenori Ogata, Tatsushi Toda
    • 雑誌名

      Internal Medicine

      巻: 63 号: 4 ページ: 565-569

    • DOI

      10.2169/internalmedicine.1919-23

    • ISSN
      0918-2918, 1349-7235
    • 年月日
      2024-02-15
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Photo‐oxygenation of histidine residue inhibits α‐synuclein aggregation2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Reito、Tomizawa Ikumi、Iwai Atsushi、Ikeda Tetsuo、Hirayama Kota、Chiu Yung Wen、Suzuki Takanobu、Tarutani Airi、Mano Tatsuo、Iwata Atsushi、Toda Tatsushi、Sohma Youhei、Kanai Motomu、Hori Yukiko、Tomita Taisuke
    • 雑誌名

      The FASEB Journal

      巻: 37 号: 12

    • DOI

      10.1096/fj.202301533r

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Proteomic profile of nuclei containing p62-positive inclusions in a patient with neuronal intranuclear inclusion disease2023

    • 著者名/発表者名
      Kurihara Masanori、Mano Tatsuo、Eto Fumihiro、Yao Ikuko、Sato Kenichiro、Ohtomo Gaku、Bannai Taro、Shibata Shota、Ishiura Hiroyuki、Ikemura Masako、Matsubara Tomoyasu、Morishima Maho、Saito Yuko、Murayama Shigeo、Toda Tatsushi、Setou Mitsutoshi、Iwata Atsushi
    • 雑誌名

      Neurobiology of Disease

      巻: 177 ページ: 105989-105989

    • DOI

      10.1016/j.nbd.2023.105989

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Time to onset of drug-induced parkinsonism: Analysis using a large Japanese adverse event self-reporting database2022

    • 著者名/発表者名
      Sato Kenichiro、Niimi Yoshiki、Mano Tatsuo、Iwata Atsushi、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      BioScience Trends

      巻: 16 号: 2 ページ: 151-157

    • DOI

      10.5582/bst.2022.01115

    • ISSN
      1881-7815, 1881-7823
    • 年月日
      2022-04-30
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] パーキンソン病における神経細胞特異的エピゲノム2023

    • 著者名/発表者名
      間野 達雄 , 大友 岳 , 橋本 唯史 , 戸田 達史 , 岩田 淳
    • 学会等名
      認知症学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Cell-type specific histone modification in the brain.2022

    • 著者名/発表者名
      間野達雄、橋本唯史
    • 学会等名
      第45回分子生物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 医学のあゆみ アルツハイマー病―研究と治療の最前線2023

    • 著者名/発表者名
      間野達雄、岩田 淳
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      医歯薬出版
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] Exosomeと疾患 アルツハイマー病2022

    • 著者名/発表者名
      間野 達雄, 岩田 淳
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      Clinical Neuroscience
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 加齢脳とエピジェネティクス異常2022

    • 著者名/発表者名
      間野 達雄, 岩田 淳
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      老年精神医学雑誌
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] Autophagy dysfunction in Alzheimer’s disease and dementia2022

    • 著者名/発表者名
      Tatsuo Mano, Atsushi Iwata
    • 総ページ数
      16
    • 出版者
      Academic press,
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi