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ミトコンドリアスフェロイド化不全を起点としたドーパミン神経細胞死の機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07523
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52020:神経内科学関連
研究機関順天堂大学

研究代表者

横田 睦美  順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (10647415)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードiPS細胞 / ドーパミン神経細胞 / ミトコンドリア / PRKN変異 / コンタクトサイト / TH-GFP iPS細胞 / 近接ライゲーションアッセイ / ドーパミン神経細胞死 / 光顕・電顕相関観察 / トランスクリプトーム
研究開始時の研究の概要

パーキンソン病におけるドーパミン神経変性の主因としてミトコンドリアを中心としたオルガネラ異常が示唆されているが、ドーパミン神経特異的な細胞死の機序はほとんど明らかにされていない。研究代表者は最近ドーパミン神経細胞特異的にGFPを発現するiPS細胞(TH-GFP iPS細胞)を健常者及びPRKN変異患者にて作出し、ストレス下でのミトコンドリア形態変化が患者で有意に抑制されていることを見出している。本研究ではTH-GFP iPS細胞由来ドーパミン神経細胞の光顕・電顕相関観察やトランスクリプトームを通じて、PRKN変異患者のドーパミン神経細胞死に至るまでのオルガネラ構造変化や分子機序を明らかにする。

研究実績の概要

本研究ではiPS細胞由来ドーパミン神経細胞をGFP標識することによりドーパミン神経特異的なミトコンドリア機能・形態解析を可能にし、パーキンソン病におけるドーパミン神経特異的なオルガネラの構造変化や変性機序を見出すことを主目的としている。
本研究ではドーパミン神経細胞マーカーTyrosine Hydroxylase(TH)遺伝子にGFP遺伝子をノックインした健常者及びPRKN変異患者TH-GFP iPS細胞株を用いている。これまでの研究によりPRKN変異患者ドーパミン神経細胞においてミトコンドリアと小胞体の接触部位(ERMCS)の減少と小胞体からミトコンドリアへのカルシウムイオン流入減少が明らかとなった。今年度はさらに、細胞質カルシウムイメージングを行った結果、細胞質カルシウムイオン濃度に関しては健常者とPRKN変異患者間で有意な差は認められなかった。この結果とこれまでの研究結果から、PRKN変異患者ドーパミン神経細胞において、細胞質カルシウムイオン濃度非依存的にミトコンドリアへのカルシウムイオン流入が減少していることが示唆された。これらの成果をまとめてFrontiers in Cell and Developmental Biology誌に発表した。
また、ドーパミン神経細胞分化におけるミトコンドリアの機能・形態やERMCSの役割を明らかにするため、まず健常者TH-GFP iPS細胞を用いてiPS細胞、神経前駆細胞、ドーパミン神経細胞各分化段階におけるミトコンドリア膜電位をTMRM染色によるライブイメージングにて解析した結果、GFP陰性非ド-パミン神経細胞ではミトコンドリアの膜電位が分化に伴って上がるのに対し、GFP陽性ドーパミン神経細胞はミトコンドリア膜電位はほとんど上がらないという結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TH-GFP iPS細胞を利用した光顕電顕相関観察やミトコンドリアカルシウムイメージングにより、ERMCSがPRKN変異患者ドーパミン神経細胞において減少していることを示した成果を論文化したという点で重要な進展であったと言える。これまでPRKN変異患者ドーパミン神経細胞においてERMCSを解析した論文はほとんどなく、TH-GFP iPS細胞を用いることでドーパミン神経細胞特異的なERMCSの機能・形態学的解析が実現した。
また、一般的に神経幹細胞から神経細胞へと分化すると代謝系が解糖系から酸化的リン酸化優位となり、ミトコンドリアの形態も長く管状になると言われている。そのため、非ドーパミン神経細胞への分化におけるミトコンドリア膜電位上昇は予想通りの結果であったが、ドーパミン神経細胞分化においてミトコンドリア膜電位がほとんど上昇しないというのは予想外の結果であった。ドーパミン神経細胞の脆弱性の要因の一つとなっている可能性もあり、興味深い結果が得られたと言える。

今後の研究の推進方策

ドーパミン神経細胞分化におけるミトコンドリアの機能・形態やERMCSの役割を明らかにするため、健常者TH-GFP iPSを用いてiPS細胞、神経前駆細胞、ドーパミン神経細胞各分化段階のFIB-SEMによるミトコンドリア形態とERMCSの三次元形態解析を行う。これらの解析により、ミトコンドリアの機能やERMCSについてもミトコンドリア膜電位と一致した傾向が認められるかを確認し、ドーパミン神経細胞分化におけるミトコンドリアの機能・形態やERMCSとの関連を明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Genome-wide screening for regulators of degradation of insulin secretory granules with a fluorescent reporter.2023

    • 著者名/発表者名
      Kanai A, Nishida Y, Iwamoto T, Yokota M, Aoyama S, Ueki K, Ito M, Uzawa H, Iida H, Koike M, Watada H.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 676 ページ: 132-140

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.07.040

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduced ER-mitochondrial contact sites and mitochondrial Ca2+ flux in PRKN-mutant patient tyrosine hydroxylase reporter iPSC lines.2023

    • 著者名/発表者名
      Yokota M, Yoshino Y, Hosoi M, Hashimoto R, Kakuta S, Shiga T, Ishikawa KI, Okano H, Hattori N, Akamatsu W, Koike M.
    • 雑誌名

      Front Cell Dev Biol.

      巻: 11

    • DOI

      10.3389/fcell.2023.1171440

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Effect of Vitamin D3 and Valproic Acid on the Maturation of Human-Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Enterocyte-Like Cells2023

    • 著者名/発表者名
      Leo Sylvia、Kato Yusuke、Wu Yumeng、Yokota Mutsumi、Koike Masato、Yui Shiro、Tsuchiya Kiichiro、Shiraki Nobuaki、Kume Shoen
    • 雑誌名

      Stem Cells

      巻: 41 号: 8 ページ: 775-791

    • DOI

      10.1093/stmcls/sxad042

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] PRKN変異患者iPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンにおける小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトの変化2024

    • 著者名/発表者名
      横田睦美、小池正人
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] TH-GFP iPS細胞由来中脳オルガノイドを用いたドパミン作動性ニューロン軸索のミトコンドリア膜電位解析.2024

    • 著者名/発表者名
      西島暁彦、横田睦美、山口昂大、赤松和土、小池正人
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] iPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンの分化過程における小胞体-ミトコンドリアコンタクトサイトの量的変化.2024

    • 著者名/発表者名
      村田晃一郎、横田睦美、西島暁彦、赤松和土、小池正人.
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] TH-GFP iPS細胞を用いたドパミン神経細胞内ミトコンドリア・小胞体間接触の機能・形態学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      横田睦美、小池正人
    • 学会等名
      第64回日本組織細胞化学会総会・学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] TH-GFP iPS細胞由来ドパミン神経細胞のミトコンドリアカルシウムイメージング2023

    • 著者名/発表者名
      横田睦美、吉野佑太朗、小池正人
    • 学会等名
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] TH-GFP iPS細胞由来ドパミン作動性ニューロンを用いた 神経突起内ミトコンドリア膜電位のライブイメージング解析2023

    • 著者名/発表者名
      西島暁彦、横田睦美、小池正人
    • 学会等名
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 順天堂大学医学部神経生物学・形態学講座

    • URL

      https://juntendo-cellbio.jp/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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