研究課題/領域番号 |
22K07527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
尾村 誠一 近畿大学, 医学部, 講師 (80462480)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | IgA / Lipid A / 多発性硬化症 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / タイラーウイルス / アジュバント / 腸内細菌 / 動物モデル / リポ多糖 / 因子分析 / 免疫グロブリンA / 腸内細菌叢 / バイオインフォマティクス |
研究開始時の研究の概要 |
多発性硬化症 (MS) は中枢神経系 (CNS) における炎症性脱髄により神経障害をきたす免疫性疾患である。申請者は MS のウイルスモデルを用い、本来腸管免疫に働く免疫グロブリン A (IgA) が CNS 内の炎症病変・ウイルス感染部位で高く検出され、さらに IgA の発現が特定の腸内細菌の存在量と高い相関を示すことを見出した。本研究では、IgA 抗体が腸内細菌叢と互いに影響し合い、増加した IgA 抗体が免疫病態を悪化させる悪玉か、あるいはウイルス排除に働く善玉として役割を果たすと仮説を立てた。この仮説を証明するために、MS 動物モデルにおける IgA 抗体の増加・枯渇試験を行う。
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研究実績の概要 |
実験計画に基づいて、IgA抗体増加試験としては、現在多発性硬化症ウイルスモデルとしてタイラーウイルス感染マウスを用いた、Lipid A投与の腸内細菌叢解析のリピート試験を実施しており、データを解析し結果をまとめた後、論文を投稿する予定である。 また、抗生物質投与により腸内細菌を除去した場合におけるマウスIgA抗体枯渇試験において作製したIgAノックアウト(KO)マウスを用いて、多発性硬化症自己免疫モデルとして実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したところ、ヘテロKOマウスにおいて増悪が認められた一方、ホモKOマウスでは顕著な変化が見られなかった。つまり、ホモKOマウスではIgA欠損に対して代替する分子が機能している可能性が考えられた。また、免疫グロブリンの力価についてもホモKOマウスで顕著な変化が検出された。現在、糞便や回腸内容物などを用いて腸内細菌叢解析を行い、データを解析中である。また、KOマウスにタイラーウイルスを感染させたところ、野生マウスと比較して体重減少は緩やかであったが、麻痺の重症度に有意な差は見られなかった。その一方で、癲癇症状についてはヘテロKOマウスで差が見られた。ウイルスに対するリンパ球増殖反応試験では、ホモKOマウスでリンパ球増殖能の抑制傾向が観察された。今後さらに研究を進めていく予定である。タモキシフェン投与によってIgA量を制御するIgAコンディショナルKOマウスについては、安定的なマウス数確保のため、系統確立を目指し交配を続けている。IgAが結合する細菌を検出するためのIgAシーケンシングの手法の確立もほぼできつつあり、今後モデルマウスを用いた解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね実験計画書通りに進行しており、IgA抗体増加試験については、リピート試験を行いデータをまとめた後、論文を執筆投稿する予定である。IgA抗体枯渇試験についても、IgAノックアウトマウスを用いた研究が進んでいる。IgAシーケンシングについても、今後実際にマウスモデルを用いて研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
順次実験計画の通りに進めていく予定であり、データをまとめた後論文投稿を行う予定である。 また、近年、疾患に対する腸内細菌叢の関与だけでなく、その腸内細菌叢の制御を目的としたバクテリオファージを含む腸内ウイルス叢研究が注目されている。当研究室でもウイルス叢解析のための手法確立を目指して研究を開始しており、本研究課題への応用を考えている。
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