研究課題/領域番号 |
22K07536
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木下 彩栄 京都大学, 医学研究科, 教授 (80321610)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / マイオカイン / 運動 / 体組成 / 筋量 / 筋 |
研究開始時の研究の概要 |
多数のアルツハイマー病患者の認知機能、運動機能、体組成(特に筋量)のデータを集積する。また、血清が保存してある患者においては血清のmyokineを測定する。myokineはirisin、cathepsin Bおよび、hemopexinを予定している。横断的、及び2年間の縦断的な調査を行い、筋量・運動機能が認知機能の低下に対する予防効果があるかどうか、また、その予防的効果はmyokineを回する物であるかを検証する。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)では、認知症発症の20年ほど前から脳内にアミロイドβ(Aβ)が老人斑としてたまり始めているため、発症前からの「安価で」「副作用のない」介入が望まれている。認知症疾患診療ガイドライン2017では、ADに対する非薬物療法として運動介入のエビデンスが最も高いとされる。我々の研究でも、運動により脳内のAβが減少し、認知機能改善効果があることがマウスモデルで示されており、その機序の一端として、運動により筋より放出されるmyokineの1種であるFNDC5/irisinがAβを減少させうることを示した。近年、運動により筋より放出されるmyokineが様々な生理活性を持つという研究が急速に進んでいる。今回の研究で、①アルツハイマー病患者サンプルおいてirisinを含めた関連するmyokineを測定し、その生理的・病理的意義を検証し、ヒトの認知機能との関連を検討し、さらに ②後ろ向きコホート研究により入手した患者の認知機能と体組成や筋肉量、筋肉の質を測定する検査の結果を検討する。 令和4年度は、①の患者血清におけるmyokineの測定を実施し、irisinおよびhemopexinと認知機能との相関について検討した。さらに②のコホート研究より1500例を超えるサンプルを収集し、現在、認知機能と体組成、筋肉量、筋肉の質における解析を行っている最中である。 さらに、今後は解析を進めるとともに、縦断的な検討を加えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①の患者血清におけるmyokineの測定を実施し、irisinおよびhemopexinと認知機能との相関について検討した。これまで保存サンプルがあり、体組成や認知機能などを測定している400-500例の血清よりmyokineを測定した。測定するmyokineは、最もよく知られているirisinに加え、当研究室で新たに検討を加えているhemopexinを選んだ。hemopexinは、sarcopeniaに陥った筋より放出される「悪い」myokineとされる。これまでの結果、認知症の女性においてhemopexinと認知機能の間に負の相関があることが示唆され、今後さらに検討を加える予定である。 ②のコホート研究より1500例を超えるサンプルを収集することができた。現在、認知機能と体組成、筋肉量、筋肉の質における解析を行っている最中であり、特に、筋肉の質との間に何らかの関係があることが見出されているので、さらにサンプルを集めていく。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究の進捗に述べたように、順調にサンプルを集めて、解析を進めることができている。今後は、さらにサンプルを追加してmyokineの測定を実施し、irisinおよびhemopexinと認知機能との相関について検討していきた。 さらに②のコホート研究においても1500例を超えるサンプルを収集しているが、統計的な解析を加えて有意な結果を得るとともに、縦断的な調査も開始しており、引き続き継続してデータを収集したい。
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