研究課題/領域番号 |
22K07539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
清水 幹人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (30817507)
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研究分担者 |
奥野 龍禎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00464248)
白石 直之 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10882285)
坂口 学 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 脳神経内科, 主任部長 (70432474)
多田 智 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (70626530)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | RGMa / ALS / 細胞骨格 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / 異常蛋白凝集 / 反発性軸索ガイダンス因子(RGMa) |
研究開始時の研究の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は蛋白質が異常な凝集体を蓄積する疾患で、細胞骨格動態の破綻が関連していることが明らかとなってきた。これまで我々の研究室はRGMa(Repulsive Guidance Molecule A)やセマフォリンなどの細胞骨格に働きかけ、神経軸索伸長を調節する軸索ガイダンス因子に着目して研究を行ってきたが、今回RGMa とALS との関係に着目し研究を開始したところRGMaがALSにおける細胞骨格異常を促進しているという重要な知見を得た。本研究ではRGMaとALSの関係を、特に細胞骨格と凝集体の蓄積という切り口で解明し、新たな治療薬開発につなげることを目的としている。
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研究実績の概要 |
2022年度はRepulsive guidance molecule A(RGMa)抗体を投与したALSモデルマウスにおける、細胞骨格動態の検証を行った。ファロイジンとDNaseⅠによる免疫染色によりアクチン重合の程度の可視化を行ったところ、ALSモデルマウスにおいてアクチンの脱重合が誘導され、RGMa抗体投与によりそれが改善することが示された。 またwestern boltをおこなうことで、RGMaシグナルの活性化の程度を定量化した。RGMaは細胞膜上のNeogeninと結合することで、Rhoを中心としたsmall GTPaseの経路を活性化することが知られている。今回、その下流であるSMADやProfilin、Cofilinの活性化を確認した所、ALSモデルマウスにおいてアクチン重合を阻害するCofilinが活性化しており、RGMa抗体投与によりそれが改善することが確認された。 一方でもともと予想されていた、ALSモデルマウスにおけるtubulinの脱重合に関しては、CRMP2などの上流のシグナルをwestern blotで定量化したが、メカニズムを推定できるような明瞭な結果を得ることができなかった。 またすでに2023年度に予定していた神経細胞のcell lineやラットの神経細胞primary cellを用いて、in vitroにおける、RGMaと細胞骨格動態の実験系を確立しつつある。 目下、RGMaの刺激が入りやすい細胞腫のスクリーニングを行っており、SHSYやNeuro2Aといった神経細胞のcell lineを使用し、RGMaで刺激を行い下流のシグナルを検討しているが、通常の条件では十分な刺激が入らないことが確認された。現在ラット神経細胞のprimary cellの樹立を行い、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともと2022年度に予定していた、ALSモデルマウスにおける細胞骨格動態の検討は、もともと予想していたtubulinに関しては、期待された結果が得られていないものの、アクチン動態において興味深い結果を得ることができた。 概ね順調に進んでおり、現在予定を繰り上げて、in vitroの実験系の構築を開始できているため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年の結果をもとにin vitroでRGMaによる細胞骨格動態を把握する。 すでに「研究実績の概要」でも示したように神経細胞のcell lineではRGMaの刺激が十分にはいらないため、ラット中枢神経のprimary neuronにて実験系を組み立てる予定である。 RGMa刺激によりアクチン動態と、その上流のシグナルの変化が確認できれば、また変異を施したTDP43やSOD1遺伝子をトランスフェクションすることで、異常蛋白質凝集体が蓄積するモデルを作成し、RGMa投与により凝集体に変化が起こるかどうかを確認する。またSOD1recombinant蛋白を作成し、投与することで、extracellularの蛋白質の取り込みに変化が生じるかどうか確認する。 2024年度は細胞骨格蛋白質に変異を施したトランスジェニックマウスを使用し、RGMa中和抗体投与によりその生存期間や運動機能 、組織の異常蛋白質凝集体がどのように変化するかを確認する予定としている。
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