研究課題/領域番号 |
22K07540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山口 浩雄 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00701830)
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研究分担者 |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
吉良 潤一 国際医療福祉大学, 医学研究科, 教授 (40183305)
松瀬 大 九州大学, 医学研究院, 講師 (70596395)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 講師 (90612903)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 多系統萎縮症 / α-シヌクレイン / モデルマウス / αシヌクレイン / マウスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)は根治療法のない神経変性疾患で、日本人ではMSA-C(小脳型)が多い。私たちは、これまでに報告の無いTet-off システムを用いた、独自の新規 MSA-Cモデルマウスの開発に成功した。このMSA マウスを用い、私たちは世界で初めて脳内ミクログリアの単一細胞 RNA解析を行い、MSA に特異的なミクログリア亜群を同定した。これらは、主として向炎症性のプロファイルを示し、アストログリアも活性化がみられた。本研究は、独自のMSAモデルマウスを用い、グリア細胞を標的とした治療実験を行いその効果を検証し、MSAの治療法を確立する。
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研究実績の概要 |
多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)は根治療法のない神経変性疾患で、日本人ではMSA-C(小脳型)が多い。これまでMSA-Cの適切な動物モデルはなかったが、私たちは、これまでに報告の無いTet-off システムを用いた、独自の新規 MSA-Cモデルマウスの開発に成功した。MSAマウスモデルの 脳幹小脳、脊髄よりミクログリアを回収し、単一細胞 RNA解析による詳細なミクログリアの遺伝子発現解析を行い、MSAに特異的なミクログリアと考えられる亜集団を見出した。また、このマウスではアストログリアも活性化がみられた。私たちはこの独自に開発したMSAモデルマウスを用い、グリア細胞を標的とした治療法の開発を行っている。MSAマウスは22 週齢から急速に進行する運動失調を示し、リン酸化α-シヌクレインの蓄積、脱髄、脳幹/小脳の活性化ミクログリオーシスおよび反応性アストログリオーシスを伴う神経細胞の喪失を示す。ミクログリアを標的とし、発症前よりCSF1R阻害剤を投与すると、MSAマウスモデルではコントロールのMSAマウスモデルと比較し、運動症状は増悪を示し、脱髄所見も増悪した。また、MSAに特異的なミクログリア亜集団の割合は増加した。MSAマウスモデルではアストログリアのコネキシン (Cx) 43/Cx30およびオリゴデンドログリアのCx47/Cx32は、リン酸化α-シヌクレインの蓄積とともに大幅な減少を示す。中枢移行性コネキシン(Cx)阻害薬投与により、運動麻痺、運動失調、生存曲線が有意に改善し、病変部でのリン酸化α-シヌクレイン蓄積とミクログリア活性化は軽減し、残存する神経細胞とオリゴデンドロサイト数は増加した。現在これら薬剤投与の結果の機序について解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自のMSAモデルマウスを用い、グリアを標的とした治療実験の一つとして、コネキシンへミチャネルブロッカーの投与実験を行い、解析が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、行っているMSAマウスモデルに対するへミチャネルブロッカーの投与実験、およびその解析を継続する。さらにグリア細胞を標的にした他の治療法についても試みる。 リン酸化α-シヌクレインの蓄積が、オリゴデンドログリアからアストログリア、ミクログリアへ広がることがわかり、今後α-シヌクレインオリゴマーの発現についても解析する。
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