研究課題/領域番号 |
22K07551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小松 浩 東北大学, 大学病院, 助教 (90624560)
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研究分担者 |
矢花 武史 東北大学, 大学病院, 助教 (30725213)
佐藤 祐太朗 東北大学, 大学病院, 助教 (30939830)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 統合失調症 / 網膜層異常 / 認知機能障害 / 早発型治療抵抗性統合失調症 / 網膜層 / 光干渉断層計 / 脳構造 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症の約30%は治療抵抗性統合失調症(TRS)と推定されている。TRSのうち70%程度は治療初期から治療反応が得られない早発型治療抵抗性統合失調症(ERS)であるが、発症早期にERSを予測できる生物学的指標は存在しない。網膜は脳と構造的にも機能的にも類似しており、光干渉断層計(OCT)により非侵襲的、短時間で測定可能である。OCTと頭部MRIによりERSに特異的な網膜層異常と関連する脳構造を同定する。さらに初発統合失調症の1年後転帰(ERS移行群)に関連する網膜層異常を前向き研究で明らかにする。本研究によりERSの早期診断及び、治療の最適化、病態理解に役立つ知見が得られると考えられる。
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研究実績の概要 |
当初は、初発統合失調症を対象に、光干渉断層計(OCT)と頭部MRIにより早期治療抵抗性統合失調症(ERS)に特異的な網膜異常と関連する脳構造を同定し、さらに初発統合失調症の1年後転帰(ERS移行群)に関連する治療開始時点の網膜異常を前向きコホート研究で明らかにすることを目的に本研究を開始した。しかし、専門外来の規模縮小により、初発統合失調症のリクルートが困難になった。そのため、令和4年度は初発に限らない統合失調症患者計21例、健常者10例のリクルートを行った。統合失調症のうち治療抵抗性統合失調症(TRS)は7例であった。これらの被験者の臨床症状の評価、頭部MRI、OCTの実施、生体試料(血液、尿、便、毛髪)を採取した。OCTの予備解析の結果、統合失調症患者では、健常者と比較して、乳頭周囲の側頭部の網膜神経線維層厚(pRNFL)の菲薄化、黄斑部の神経節細胞層-内網状層厚(mGCL-IPL)の菲薄化、視蓋体積(OCV)の拡大をみとめた。さらに、OCVの拡大と言語流暢性、注意機能の低下と関連することが明らかになった。一方、OCTアンギオグラフィーによって測定される網膜微小血管密度に関しては、統合失調症患者と健常者では有意な差異はみられなかった。以上より、pRNFL、mGCL-IPL厚は統合失調症の予後や治療反応性を評価するための生物学的指標になりうることが示唆された。またOCVは認知機能障害の重症度の生物学的指標になりうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
専門外来の規模縮小、新型コロナウイルス感染症の拡大により、東北大学へのアクセスが制限され、協力医療機関からのリクルートが予定通りにはすすまず、初発統合失調症患者のリクルートが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
早期治療抵抗性統合失調症の診断に関しては、診療記録に基づく、後ろ向き調査により行い、OCTと頭部MRIにより早期治療抵抗性統合失調症に特異的な網膜層異常と関連する脳構造を明らかにする。また、縦断調査により、統合失調症のOCT及び頭部MRI所見と治療抵抗性との関連を調べる。
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