配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
本研究計画では「様々な難治性の精神疾患の分子病態背景に、未知の自己抗体が存在する」という仮説を示すことが目的である。近年、脳炎患者からシナプス分子に対する自己抗体が発見されてきた。これを背景に、申請者は未知の自己抗体を発見するスクリーニング系を確立し、統合失調症でいくつかの新規自己抗体を見いだしてきた。これらの自己抗体と統合失調症の進行性の病態・シナプス減少との関連や、その他の精神疾患での新規自己抗体の存在も推定されるが、これらは未解明である。 本年度は、上記のスクリーニング系で、統合失調症患者からこれまでに報告のない抗NRXN1自己抗体が387名中8名(約2.1%)に存在することを発見した。この自己抗体を患者から精製し、マウスの髄液中に投与することで、抗NRXN1自己抗体がNRXN1のNLGN1やNLGN2との分子間結合を阻害し、マウス脳の電気生理学的な特性を変化させ、さらにシナプス減少とつながり、最終的に認知機能低下、プレパルスインヒビションの障害、社交性の障害などにつながることを明らかにした。抗NRXN1自己抗体陽性の患者は、我々が以前発見した抗NCAM1自己抗体陽性の患者(統合失調症患者の約5.4%に存在)とは異なり、統合失調症の約7.5%に抗NCAM自己抗体か抗NRXN1自己抗体が存在することを示した。これらの結果は下記のの論文として発表した。
Shiwaku H, Katayama S, Gao M, Kondo K, Nakano Y, Motokawa Y, Toyoda S, Yoshida F, Hori H, Kubota T, Ishikawa K, Kunugi H, Ikegaya Y, Okazawa H, Takahashi H. Analyzing schizophrenia-related phenotypes in mice caused by autoantibodies against NRXN1α in schizophrenia. Brain Behav Immun. 2023;111:32-45.
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