研究課題
基盤研究(C)
母体の低GWGと児のASDとの関連をわが国で初めて検証する。また,その関連を裏打ちする2つの生物学的知見(レプチンの関与,神経学的成熟の遅延の介在)の検討をおこなうことで,ASDの病態理解のみならず,GWGに関する新たなエビデンスを提供することとなる。
本研究の目的は、浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)を利用して、母体の低GWGが児の自閉スペクトラム症(ASD)リスクを高めるか、神経学的成熟遅延をもたらし、ASDのリスクを媒介するか、または臍帯血レプチン濃度低下をもたらし、ASDのリスクを媒介するか、の3点を解明し、低GWGの小児神経学的予後とその生物学的メカニズムを明らかにすることである。これまでに、データの収集と統合、予備的または関連する解析が行われてきた。HBC Study参加者1258名の中から、ASDを含む神経発達症について懸念をもたれたことのある約300名の児を対象に、0~8歳まで計12回にわたる面接評価から得られた情報を利用し、研究者らによる合議診断の有無を検討した。さらに、低いGWGがSGAにもたらす影響について、他の出生コホートの協力を得てメタ解析を行い、低いGWGが胎児期の身体発達に大きな影響を与えることを示唆した。この結果はNutrients誌に報告された(Ishituka et al., Nutrients 2024)。
2: おおむね順調に進展している
データの収集と統合、予備的または関連する解析が順調に進行している。また、ASDを含む神経発達症について懸念をもたれた児童の評価も行われ、その結果を基に合議診断の有無を検討している。さらに、他の出生コホートとの協力によるメタ解析も行われ、その結果は既に学術誌に掲載されている。これらの進捗を考慮すると、研究は予定通り進行しており、目標達成に向けて良好な進展を遂げていると評価できる。
最終年度に向けては、これまでの結果を更に深堀りし、研究の目的である「低GWGの小児神経学的予後,ASDリスクとの関連,およびその生物学的メカニズムの解明」を達成するための分析と解釈が求められる。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 備考 (1件)
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