研究課題/領域番号 |
22K07575
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
川端 梨加 金沢大学, 附属病院, 研究員 (70726207)
|
研究分担者 |
坪本 真 金沢大学, 附属病院, 助教 (40835906)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 死後脳 / GABAニューロン / real-time PCR / in situ hybridization |
研究開始時の研究の概要 |
作業記憶は学習・言語・計算などの認知機能の基盤である。統合失調症、双極性障害、うつ病の3精神疾患では、慢性的な作業記憶障害が認められ、患者の社会機能低下や症状の易再燃性に結び付いている。本研究ではこれら3精神疾患を対象に、視覚作業記憶ネットワークに属する背外側前頭前野、後部頭頂野、視覚野にて、ネットワークを形成し情報処理を担う錐体ニューロン、パルブアルブミン(PV)陽性ニューロン、ソマトスタチン(SST)陽性ニューロンの変化を解明する。そのために、各疾患の患者および対照者より提供された死後脳の各領域において、これらのニューロンに発現しその機能を担う分子のmRNA発現を定量する。
|
研究実績の概要 |
本年度は、統合失調症患者、双極性障害患者、うつ病患者、並びに精神神経疾患の罹患歴のない健常対照者の死後脳より背外側前頭前野の灰白質組織を白質の混入を避けて注意深く切り出し、Trizol液に撹拌しRNA抽出キットを用いて遺伝子発現解析に用いるサンプルを準備した。性別が同じで、年齢、死後経過時間、脳の状態を反映する脳組織pHなどが近い、各患者および対照者のそれぞれ1名の計4名を1組とする40組(各グループ40名)よりRNAサンプルを準備した。死後脳提供者の性別は、各グループとも男性22名、女性18名(X2(3) = 0.00; p = 1.00)、平均年齢(SD)は、統合失調症患者群が47.4(12.2)歳、双極性障害患者群が45.8(12,4)歳、うつ病患者群が45.5(11.7)歳、精神神経疾患の罹患歴のない健常対照者(UC)が46.8(12.8)歳で、グループ間での有意差は無かった(F3,156 = 0.20; p = 0.90)。脳組織の死後経過時間の平均(SD)は、SZが19.9(7.4)時間、BPが20.8(7.0)時間、MDが19.2(5.8)時間、UCが19.6(5.6)時間で、同じく有意差は無かった(F3,156 = 0.46; p = 0.71)。脳の状態を反映する脳組織pH(SD)は、SZが6.5(0.3)、BPが6.6(0.3)、MDが6.5(0.2)、UCが6.7(0.2)で、同じく有意差は無かった(F3,156 = 1.83; p = 0.15)。大脳皮質より抽出されたRNAサンプルのRNA integrity number (RNAの品質を評価する指標:RIN) (SD)は、SZが8.0(0.6)、BPが7.9(0.7)、MDが8.0(0.6)、UCが8.1(0.6)で、同じく有意差は無かった(F3,156 = 0.77; p = 0. 51)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、共同研究先での脳組織の準備が進まず、RNAサンプルが得られたサンプルが背外側前頭前野のみとなっている。
|
今後の研究の推進方策 |
背外側前頭前野におけるGABAニューロン変化について、PVニューロンに選択的に発現するカリウムチャネルサブユニットKCNS3、PVニューロンおよびSSTニューロンとは独立したサブタイプである血管作動性腸管ペプチド(VIP)陽性ニューロンのマーカーであるVIPおよびカルレチニン(CR)、GABAニューロン全体に発現するGAD67の発現を、健常対照者と統合失調症、双極性障害、うつ病の各患者においてreal-time PCRにより計測し、各疾患における対照者からの変化を比較する。さらに、錐体ニューロンに選択的に発現し統合失調症の前頭前野で発現低下が報告されているBDNF及びNPTX2と錐体ニューロンの棘突起の変化を反映すると考えられるアクチン制御遺伝子の統合失調症における発現変化を作業記憶ネットワークを形成する背外側前頭前野、後部頭頂野、視覚野において評価する。
|