研究課題/領域番号 |
22K07585
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
丹羽 真一 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 博士研究員 (30110703)
|
研究分担者 |
稲富 宏之 京都大学, 医学研究科, 教授 (10295107)
澤田 欣吾 東京大学, 相談支援研究開発センター, 助教 (30829205)
岩田 基 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 准教授 (70316008)
永井 邦芳 名古屋学芸大学, 看護学部, 教授 (70402625)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | UBOM / バウム・テスト / バウム画 / 陽性画 / 陰性画 / ゲシュタルト / AI / 深層学習 / 臨床精神医学 |
研究開始時の研究の概要 |
臨床系研究者と機械学習を専門とする工学系研究者によるチームを形成し、研究分担者の稲富・岩田がこれまでに進めた機械学習によるバウム画の自動判定法を基礎に、表象系が投影されたバウム画像を機械学習により自動判定する方法を精緻化し、自動判定結果と臨床情報解析結果とを総合することにより自動判定結果の意味づけを確かにし、行動・生活機能評価などの外的基準による妥当性検証を行った上で、技術化された方法を実用化し臨床に利用しやすいものとして提供しようとする。 基本的意義は、精神医学・精神科医療に画像自動判定の技術を取り入れ実用化するものである。この方法を精神科医療に実装することで、その有用性を高めることもできる。
|
研究実績の概要 |
本研究計画はバウム・テストで描かれるバウム画のゲシュタルトの質をAIを用いた深層学習により自動判定する方法を開発することを目的としている。そのためには多数のバウム画を機械に学習させる必要があるので、各種精神疾患患者から4000枚、健康な人から1000枚のバウム画を収集する。バウム画と同時に小池らの社会機能基準(GAF-F)、BPRS16項目版、MMSE-Jの図形模写課題、FAB(Frontal Assessment Battery)などの臨床情報も精神疾患患者から収集して自動判定したバウム画分類の臨床的意味を明らかにするために用いる。新たにバウム画を収集する作業と並行して既存のバウム画を保有する施設からそのバウム画を提供いただき、深層学習によるバウム画のゲシュタルトの質の自動判定法の試験的開発をおこなう。この計画のうち、令和4年度には次のことを達成した。 1.新たにバウム画収集を行なう施設を合計21施設、既存のバウム画を提供いただく施設を2施設確保でき、2.2023年1月16日付にて福島医大から研究許可通知が得られた。3.許可通知に基づき、2023年3月14日に研究参加施設から25名の参加を得てキックオフ・ミーティングを開催した。4.研究計画の中に含まれているネット上で健康な人からバウム画を収集することを委託する企業を競争入札により株式会社МSSに決め、収集のための具体的条件を取り決めて収集の準備を進めた。5.既存のバウム画を提供いただき、AIによる深層学習の方法開発のために用いるため、確保した2つの研究協力機関のうち立川パークサイドクリニックからオプト・アウトにより被検者の了解を得て444枚のバウム画を提供いただいたので、それらをスキャナーで取り込みデジタル化して分担研究者間で共有した。 以上、1年目になすべきことの多くを達成することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画ではまずバウム画を各種精神疾患患者および健康な人から、おのおの4000枚、1000枚を目標に収集すること、それと並行して既にUBОМ検査を臨床検査の一環として行っている施設からオプト・アウト方式で被検者の了解を得てUBОМ検査のうちのバウム画を提供いただき、それをAIの深層学習によりバウム画のゲシュタルトの質を自動判定する方法の試験的開発に用いることを行なうことが必要である。そのために分担研究者以外に多くの研究協力者の参加を得ること、既存のバウム画を提供いただく研究協力機関を確保すること、その上で一括審査方式にて福島医大の倫理委員会にて研究計画の承認を得ることを行なった。その結果、新たにバウム画収集を行なう施設を合計21施設、既存のバウム画を提供いただく施設を2施設確保でき、2023年1月16日付にて福島医大から研究許可通知が得られた。許可通知に基づき、2023年3月14日に研究参加施設から25名の参加を得てキックオフ・ミーティングを開催した。また、研究計画の中に含まれているネット上で健康な人からバウム画を収集することを委託する企業を競争入札により株式会社МSSに決め、収集のための具体的条件を取り決めて収集の準備を進めた。さらに、既存のバウム画を提供いただき、AIによる深層学習の方法開発のために用いるため、確保した2つの研究協力機関のうち立川パークサイドクリニックからオプト・アウトにより被検者の了解を得て444枚のバウム画を提供いただいたので、それらをスキャナーで取り込みデジタル化して分担研究者間で共有した。以上、多くの研究協力機関を確保するために時間を必要としたこと、倫理委員会申請のための書式の変更があったため申請に時間を要したために、倫理委員会での審査と承認が当初の予定よりも遅れたけれども、上記のように、1年目になすべきことの多くを達成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は令和4年度から3年間の計画である。1年目に研究協力施設、既存のバウム画の提供施設の確保の上、福島医大倫理委員会の承認を得て研究開始の準備を整えることができた。また、ネット上で健康な人からバウム画を収集することをМSSに委託することを競争入札で決めて動き出せる用意ができた。さらに、既存のバウム画を提供頂ける協力機関のうち一つ(立川パークサイドクリニック)から444枚のバウム画を実際に提供いただきデジタル化して分担研究者間で共有した。2年目である令和5年度には、分担研究者・研究協力者の施設で各種精神疾患患者から4000枚、同施設およびネット上で健康な人から1000枚のバウム画を新たに収集する、既存のバウム画を提供いただけるもう一つの施設(高田厚生病院)からバウム画を提供いただくことにより、それら既存のバウム画を用いて深層学習によるバウム画のゲシュタルトの自動判定の方法の試験的開発を行なう。新たなバウム画の収集は目標枚数達成までに3年目である令和6年度の最初の数か月までかかる可能性がある。ネット上で健康な人からバウム画を収集することを専門企業であるМSSに委託した。収集の条件を1年目に取り決めたので、同社は2年目の令和5年度の当初から収集を開始する。 また、各種精神疾患患者から4000枚のバウム画を収集し、深層学習によるバウム画のゲシュタルトの質の自動判定に役立てるための臨床情報を同時に収集することを21の施設の研究者に開始いただけるよう、必要書類一式を印刷し各研究者に250部ずつ配布することを令和5年5月末~6月初めに行う。必要書類一式には、小池らの社会機能基準(GAF-F)、BPRS16項目版、MMSE-Jの図形模写課題、FAB(Frontal Assessment Battery)などを含む。以上により、本計画を遂行する。
|