研究実績の概要 |
本研究は観察研究(前向き)と介入研究(前後比較試験)から構成される。観察研究は産科病棟に分娩目的で入院し、研究同意が得られた患者を対象とする。分娩後,4,8,12週で産褥婦の抑うつ症状の評価を行い、並行して栄養評価、身体計測、血液検査(一般生化学検査,脂肪酸,タンパク質とアミノ酸,ビタミン,無機質など)、新生児の身体発育評価を行って、抑うつ症状と母体の栄養状態、新生児の身体発育との関係を明らかにする。介入研究では、抑うつ症状を認めた症例に産科医、助産師、リエゾン看護師、栄養士、心理技術職、医療ソーシャルワーカー、精神科医で構成する周産期メンタルサポートチーム(Perinatal Mental Support Team; 以下、PMSTと略す)が介入し、介入開始時,4,8週後の時点での抑うつ症状を評価し、PMST介入の効果を検討する。 2022年度に本研究について臨床研究審査委員会の審査を受けて承認され、研究体制の構築を行い、症例のエントリーを開始した。2023年度は症例のエントリーを継続し、現在までに10症例に同意を得て、観察研究を行った。10症例のうち、2症例が分娩後に抑うつ群へ分類されたが(Center for Epidemiologic Studies Depression Scaleで16点以上、Edinburgh Postnatal Depression Scaleで9点以上)、介入研究の同意は得られなかった。現在も評価を続けている段階ではあるが、現状で抑うつ群と非抑うつ群との間で、栄養評価、身体計測、血液検査(一般生化学検査,脂肪酸,タンパク質とアミノ酸,ビタミン,無機質など)、新生児の身体発育評価の項目で有意差は認めていない。今後は症例数を増やし、介入研究の同意も取得できるように対応を検討していく予定である。
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