研究課題/領域番号 |
22K07596
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
工藤 喬 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 教授 (10273632)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / エクソソーム / タウ / Aβ40 / Aβ42 / バイオマーカー / 血漿 |
研究開始時の研究の概要 |
ADの抗体療法には、効果の期待できる症例を如何に見つけ出していくかは今後の大きな課題である。そのためには、安価で低侵襲な血漿を用いた、アミロイド蛋白やタウ蛋白に代わる超早期のADマーカーの確立が必要である。申請者らはAPLP1をターゲットとして免疫沈降することでNDEを血漿から分離する技術を確立している。糖尿病はADのリスク因子であり、高齢者糖尿病患者の中には超早期ADが含まれる可能性がある。本研究では、高齢者糖尿病のコホートを用い、NDEを確立した方法で分離し、NDE内の蛋白をLC/MSシステムに供し、ショットガン解析を行って、超早期ADマーカーを同定する。
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研究実績の概要 |
アミロイドワクチンの登場で、根本的治療のなかったアルツハイマー病(AD)医療はDisease-modifying drugの時代へといよいよ向かうことが期待されている。 しかし、この抗体療法は今のところ極めて高価であり、どのような患者に投与するかを決定するために、厳格な診断が必要となってくる。近年、ADの特異的な診断技術として、脳脊髄液中のタウ蛋白およびアミロイド蛋白の定量、あるいはアミロイドPETなどが開発されてきたが、前者は侵襲性が高く、後者は高価であることが問題視されている。従って、低侵襲性で安価の方法、すなわち通常の末梢採血による診断技術が待たれている。 申請者は神経細胞膜特異的分子であるAPLP1をターゲットとして免疫沈降することで神経由来エクソソーム(NDE)を血漿から分離する技術を確立している。本年度はまず実際に血漿中にNDEが存在するかを検討した。血漿を用いたproteinase Kによるprotection assayを行ったところ、エクソソームに含有される神経蛋白であるタウがデジタルELISAによって検出され、確かにNDEが血漿中に存在することを確認した。 さらに、APLP1の細胞外ドメインに選択性の高いモノクロナール抗体を作成し、抗APLP1抗体による免疫沈降でNDEを分離する技術の改良を行った。この技術により免疫沈降ビーズから酸溶出して、APLP1およびエクソソームマーカー陽性の検出NDEそのものを分離することに成功した。脳脊髄液データ付きの阪大病院を受診したAD患者の血漿よりNDEを分離し、デジタルELISA(Simoa)で解析した。ADに関連するProtein Xが脳脊髄液のトータルタウ、リン酸化タウと相関し、Aβ42/Aβ40と逆相関することが示された。ADの脳脊髄液ではトータルタウ、リン酸化タウは上昇し、Aβ42/Aβ40は低下を示すことから、このNDE中のProtein Xは新たなADの血液バイオマーカーになりうる可能性が示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、実際に血漿中にNDEが存在することを確認する必要があると考え、本年度はその実験を行った。 また、使用しているAPLP1の抗体によりNDEの収量が変わること、さらにはビーズより溶出した純度の高いNDEを得る必要性を鑑み、技術の改良を行ったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
NDE分離技術に関し、抗モノクロナールAPLP1抗体の安定供給およびビーズからのよりインタクトなNDEを溶出するためペプチドによる溶出を確立必要性が浮上している。従って、このような実験を済ませたのち、実際の患者サンプルの解析に進む予定である。
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