• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

うつ病における脳内テロメア短縮のメカニズムー動物モデルによる検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K07622
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52030:精神神経科学関連
研究機関北海道医療大学

研究代表者

泉 剛  北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60312360)

研究分担者 鹿内 浩樹  北海道医療大学, 薬学部, 講師 (00632556)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードうつ病 / 動物モデル / 海馬 / テロメア / テロメラーゼ / β-catenin / 幼若期ストレス / テロメア―ゼ
研究開始時の研究の概要

テロメアは細胞寿命の決定因子である。うつ病モデル動物(幼若期ストレス、3WFS)でテロメアを検討したところ、海馬でテロメアが短縮し、テロメア複製酵素であるTERTが減少しており、GSK3βの活性が増加していた。GSK3βはβ-cateninを阻害し、β-cateninはTERTの転写を促進するため、GSK3βの活性増加によりテロメアが短縮した可能性が考えられた。本研究では、3WFSラットの海馬で、β-catenin活性低下を実証すると共に海馬でβ-cateninのコンディショナルノックアウトを行い、テロメアが短縮するかどうか確認する。これより、うつ病におけるテロメア短縮のメカニズムを追及する。

研究実績の概要

テロメアは細胞寿命の決定因子であり、うつ病とテロメア短縮の関連が報告されている。うつ病モデル動物(幼若期ストレス、3WFS)でテロメアを検討したところ、海馬でテロメアが短縮し、テロメア複製酵素の活性ユニットであるTERTが減少しており、うつ病関連分子であるGSK3βの活性が増加していた。β-cateninは核内へ移行してTERTの転写を促進するが、GSK3βはβ-cateninを阻害するため、GSK3βの活性増加によりテロメアが短縮した可能性が考えられた。この仮説を実証するために3WFSの海馬において核分画のβ-catenin量を定量する必要がある。
Thermo Fisher Scientific社のキットを使用して、ラットの脳サンプルで細胞分画が可能かどうか検討した。海馬を分離し、核及び細胞質分画に分けた。核分画のマーカーとしてHDAC2、細胞質分画のマーカーとしてGAPDHを用いてウェスタンブロッティングを行った。その結果、核分画ではHDAC2のバンドが認められ、GAPDHのバンドは認められなかった。逆に、細胞質分画ではHDAC2のバンドは認められずに、GAPDHのバンドが認められた。これより、細胞分画は成功したと思われた。
一方、うつ病モデル動物の海馬におけるTERT減少の意義を確認するため、海馬におけるTERTのコンディショナル・ノックアウトを試みた。Jackson Laboratory社よりTERTのfloxed mouseを購入し、Addgene社よりCreを発現するAAVウイルスベクターを購入した。マウスの背側海馬歯状回にベクターを局所注入し、1か月後にかん流固定して海馬を含む脳切片でTERTの免疫染色を行った。その結果、海馬歯状回の顆粒細胞層を中心としてTERT陽性細胞が減少している様子が観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

3WFSラットの海馬でのβ-cateninのタンパク量低下が核でのTERTの転写を低下させるかどうか確認するために、核分画のβ-catenin量を分離して定量する必要がある。そのための予備的検討を行ったところ、細胞分画の方法はほぼ確立できた。
一方、今年度の検討でマウス海馬におけるTERTのコンディショナル・ノックアウトの作成に成功した。来年度は上記の確立した方法を用いて、さらに検討を進める。

今後の研究の推進方策

来年度は、本年度に確立した細胞分画の方法を用いて、コントロール群と3WFSラット群の海馬を比較し、3WFS群でβ-cateninの核移行量が低下していることを確認する。また、β-cateninの免疫染色を行い、これと平行した所見が得られるかどうか検討する。そして、核移行したβ-cateninが実際にTERT遺伝子の調節領域に結合しているかどうか確認するため、3WFSラットの海馬サンプルを用いてβ-catenin抗体によるクロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-Seq)を行う。
一方、本年度に確立した海馬におけるTERTのコンディショナル・ノックアウトマウスに対して、行動量および不安行動(高架式十字迷路)、うつ行動(強制水泳)、記憶(新奇物体試験)、注意力およびワーキングメモリー(Y迷路試験)を調べる行動試験を行い、海馬神経細胞におけるテロメア短縮が脳機能に及ぼす影響について検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] 5-HT neural system abnormalities in PTSD model rats.2023

    • 著者名/発表者名
      Shikanai Hiroki, Matsuzaki Hirokazu, Kasai Rina, Kusaka Shota, Shindo Tsugumi, Izumi Takeshi
    • 雑誌名

      NeuroMethods

      巻: 198 ページ: 203-213

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] D-serine metabolism in the medial prefrontal cortex, but not the hippocampus, is involved in AD/HD-like behaviors in SHRSP/Ezo2022

    • 著者名/発表者名
      Shindo Tsugumi、Shikanai Hiroki、Watarai Akane、Hiraide Sachiko、Iizuka Kenji、Izumi Takeshi
    • 雑誌名

      European Journal of Pharmacology

      巻: 923 ページ: 174930-174930

    • DOI

      10.1016/j.ejphar.2022.174930

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Separation and detection of D-/L-serine by conventional HPLC2022

    • 著者名/発表者名
      Shikanai Hiroki、Ikimura Kazuko、Miura Momoko、Shindo Tsugumi、Watarai Akane、Izumi Takeshi
    • 雑誌名

      MethodsX

      巻: 9 ページ: 101752-101752

    • DOI

      10.1016/j.mex.2022.101752

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ニワトリ胚のニコチン性アセチルコリン受容体伝達の阻害は 孵化後の雛に自閉症様の視知覚発達の不全をもたらす2023

    • 著者名/発表者名
      松島俊也、三浦桃子、Giorgio Vallortigara、泉 剛
    • 学会等名
      日本神経精神薬理学会第53回年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 海馬におけるオレキシン受容体の発現と情動制御機能2023

    • 著者名/発表者名
      尾崎 和音、鹿内 浩樹、篠塚 賢志、馬渕 莉穂、進藤 つぐみ、 大橋 敦子、泉 剛
    • 学会等名
      第36回北海道薬物作用談話会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] うつ病モデル動物における海馬テロメアの異常短縮2023

    • 著者名/発表者名
      鹿内浩樹、進藤つぐみ、尾崎和音、大橋敦子、泉 剛
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] SSRIの抗不安作用の機序ー脳内セロトニン神経系について2022

    • 著者名/発表者名
      泉 剛、今野幸太郎、渡辺雅彦、田中謙二、鹿内浩樹
    • 学会等名
      第14回日本不安症学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] うつ病モデル動物におけるテロメア2022

    • 著者名/発表者名
      鹿内浩樹、進藤つぐみ、尾崎和音、大橋敦子、大塚郁夫、菱本明豊、泉剛
    • 学会等名
      BPCNPNPPP4学会合同年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] うつ病における海馬オレキシン神経系の関与2022

    • 著者名/発表者名
      鹿内浩樹、進藤つぐみ、尾崎和音、馬渕莉穂、中井慎一、大橋敦子、泉剛
    • 学会等名
      第73回日本薬理学会北部会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 幼若期ストレス負荷うつ病モデル動物の脳内GSK-3β/β-cateninシグナルの異常2022

    • 著者名/発表者名
      尾崎 和音、進藤 つぐみ、日下 翔太、脇田 征太朗、鹿内 浩樹、 大橋 敦子、泉 剛
    • 学会等名
      第35回北海道薬物作用談話会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] AD/HDの薬物治療の新しい戦略2022

    • 著者名/発表者名
      鹿内浩樹、進藤つぐみ、平出幸子、木村真一、飯塚健治、泉 剛
    • 学会等名
      第96回日本薬理学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi