研究課題/領域番号 |
22K07630
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
山田 美佐 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 客員研究員 (10384182)
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研究分担者 |
山田 光彦 東京家政学院大学, 人間栄養学部, 教授 (60240040)
三輪 秀樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (80468488)
古家 宏樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (90639105)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リルゾール / PTSD / 恐怖記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らはこれまでに、脳内局所投与実験によりリルゾールの再固定化阻害作用には海馬、消去学習促進作用には扁桃体及び内側前頭前野が重要であること、ミクログリアにも作用することを明らかとしている。そこで先行研究で報告されている再固定化、消去学習のメカニズムの中から、これらの脳部位やミクログリアに関わるメカニズムに焦点を絞り、作業仮説を立ててリルゾールの再固定化阻害及び消去学習促進メカニズムを検討する。
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研究実績の概要 |
我々は齧歯類を用いた研究によって、筋萎縮性側索硬化症治療薬のリルゾールが、抗不安様作用、恐怖記憶の再固定化阻害及び消去学習促進作用を有することを報告し、曝露療法の併用薬として有用である可能性を提示した。一方、精神疾患に対するリルゾール処方は国内外で適応外とされているが、その効果を検討した報告が近年散見される。そこで本研究ではリルゾールの臨床適用を確認するために、不安を主症状とする精神疾患に対するリルゾールの効果についてのシステマティックレビューを行った。 電子データベース(PubMed、PsycINFO、CINAHL、EMBASE)を用いて2021年4月までに発刊された論文を検索した。研究プロトコルは、PROSPEROに登録されている。適格基準は、1) 研究対象者が、不安障害、パニック障害、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害(PTSD)、恐怖症に罹患した者である論文、2) リルゾールを使用した介入研究とした。除外基準は、総説、解説、レビュー、学会抄録、症例報告とした。 検索の結果、合計745報の論文がヒットした。最終的に、PTSDを対象にした試験が2報、OCDを対象にした試験が6報、全般性不安障害(GAD)を対象にした試験が4報抽出された。パニック障害、恐怖症を対象にした試験は無かった。PTSDを対象にしたRCTではPTSD症状の改善は示されなかったが、そのサブグループ解析では症状軽減効果が報告されていた。OCDでは、成人を対象にしたRCTで症状軽減効果が示されていた。GADは、小規模のOpen label 試験だけであり、うち3報は生物学的指標の探索であった。以上の結果より、臨床研究をさらに推進するためにも、リルゾールの効果についての基礎的研究が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミクログリアを用いて炎症性サイトカインの放出に対するリルゾールの作用に焦点をあてて検討した。当初計画していたTNFαに加えて、IL-6、IL-1βも検討した。さらに、リルゾールの作用部位についても明らかにできた。リルゾールの臨床適用を確認するために、不安を主症状とする精神疾患に対するリルゾールの効果についてのシステマティックレビューを行い欧文誌に掲載された。これらのことから、「おおむね順調に進展している」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
ミクログリアを用いて、LPSによる炎症性サイトカイン放出に対するリルゾールの抑制メカニズムをさらに詳細に検討する。具体的には、NF-κB経路とともにミクログリアの炎症反応を調節するMAPK経路について、ウエスタンブロット法により検討することを計画している。
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