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AIを活用した小児がん陽子線照射のトリプルハイブリッド遠隔治療計画システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07631
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分52040:放射線科学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

橋本 孝之  北海道大学, 医学研究院, 准教授 (60400678)

研究分担者 高尾 聖心  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10614216)
小橋 啓司  北海道大学, 医学研究院, 講師 (70577410)
吉村 高明  北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (70807742)
西岡 健太郎  北海道大学, 医学研究院, 助教 (80463743)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード遠隔治療計画 / 陽子線治療 / 小児がん / 放射線科学
研究開始時の研究の概要

紹介元の地域医療機関から小児がん患者の複数の診断用画像情報を事前にリモートで取得し、最先端の人工知能(AI)と非剛体変形技術を活用して患者到着前に治療計画・線量計算を行う、新しい陽子線遠隔治療計画システムの基盤技術の開発を目指す。陽子線治療のメリットが大きいにも関わらず、遠隔地在住の小児がん患者・家族に受診をためらわせている経済的・心理的要因について、医理工連携による負担軽減を図り、照射開始までの期間を短縮することによる治療効果の向上、がん治療の均てん化や医療資源の有効活用につなげる。

研究実績の概要

陽子線治療を必要とする遠隔地在住の小児がん患者家族の負担軽減を可能とする、医理工連携によるトリプルハイブリッド遠隔治療計画の成立性の確認を進めるため、陽子線治療を過去に実施した患者2名において、体型情報など複数の画像情報を組み合わせ、治療計画を復元する検証実験を行った。患者の受診、治療用固定具の作成、治療計画用のCT撮像、照射法の決定・線量計算開始から、作成した治療計画の品質検証、陽子線照射開始までの一連の流れを想定して、今年度は診断用CT画像を用いて標的体積やリスク臓器の輪郭描出と仮想の陽子線治療計画シミュレーションを行い、実行可能であることを実験的に確認した。治療期間中の変形が少ないと考えられる頭蓋内腫瘍を想定した標的を設定し、研究専用の治療計画装置を用いて左右対向2門での陽子線治療計画を作成した。その後治療計画用に撮影されたCT画像に対し同様に標的を設定し、この標的に対して既開発の線量分布復元の手法を用いて先に作成した線量分布(治療計画)を再現し、実際の治療で用いられた初期治療計画の線量体積ヒストグラムと比較検討した。その結果、再現された治療計画の標的やリスク臓器の評価指標において、品質は初期治療計画と同等であることが確認された。なお、本線量分布復元法を用いず単に初期治療計画の分布をforward計算により治療計画CTへ移植した場合、腫瘍の増大や体重減少の程度によっては標的内の線量均一性低下への影響が大きいと予測されることから、線量分布復元手法の妥当性についても検討を進めていく。また腫瘍サイズや体重の変化が大きい症例においても、線量分布復元法を用いた初期線量分布が再現可能であることについて、引き続き評価していく必要があると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究2年目である今年度においては、陽子線治療を過去に実施した患者において、体型情報など複数の画像情報を組み合わせ、治療計画を復元する検証実験を行った。陽子線治療計画シミュレーションは研究専用の治療計画装置を用いて実施した。体型の変形が比較的少ないと考えられる小児脳腫瘍2症例の標的とリスク臓器の輪郭を診断用CT画像上で治療計画装置を用いて設定し、左右対向2門での陽子線治療計画シミュレーションを行った。その後治療計画用に撮影されたCT画像に対し同様に標的とリスク臓器の輪郭を設定し、この標的に対して既開発の線量分布復元の手法を用いて初期治療計画の線量分布の再現を試みた結果、標的やリスク臓器に対して初期治療計画と同等の品質の治療計画が生成されていることが確認された。線量分布復元法を用いた迅速な再計画は、治療に用いることも可能なレベルの計画が作成でき、また通常の再計画よりも短時間で作成、照射ができると見込まれるが、少数症例での評価にとどまるため、本手法の妥当性の評価には更なる症例数の増加が必要と考えられる。

今後の研究の推進方策

過去の患者の診断用CT・MRI画像を、AIで予測された放射線治療時の患者体位に合わせて非剛体変形させた画像データを用いて、陽子線治療の照射計画を作成し、患者が来院した後に精度を評価し、必要に応じて微調整を行うのみで数日以内に照射を開始できるシステムの構築に向けてさらに症例数を増やして検討を進めていく。初期治療計画をそのまま用いて照射を継続した場合、腫瘍の増大や体重減少などの体型変化の程度によっては、標的内の線量均一性低下への影響が大きいことが予測される。実臨床での使用の際に正確性と安全性とを十分に担保できるようにするため、様々な条件下で基礎的データの取得が求められる。これまでは変形が少ないと考えられる頭蓋内腫瘍症例から研究を開始してきたが、将来的には腫瘍サイズや体重の変化などの解剖学的変化による影響がより大きいと想定される体幹部にも対象領域を展開していくことが求められる。またこのような難易度がより高い症例においても、線量分布復元法を用いることの妥当性について、今後さらに症例数を増やしながら評価検討を進めていく必要がある。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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