研究課題/領域番号 |
22K07637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 幸憲 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80456897)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 放射線治療 / 脳転移 / 肺癌 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は放射線治療をうける高齢がん患者において非がん死のリスクを評価し、それを低減させるための方法を導入することである。 研究は ① 実態把握、② リスク評価システムの構築、③ 臨床介入 の三段階で進める。まず、自施設の症例から非がん死亡の実態把握とともにリスク因子を見いだす。次にG8評価や握力など問診・診察ベースの評価と、治療計画CTから情報を抽出することで、非がん死亡のリスク評価法を確立する。その後、非がん死亡リスクが高い症例において、リスク低減に有効と思われる臨床介入を導入する。 非がん死亡を低減することができれば健康寿命延伸につながるとともに、将来のがん患者が治療選択をしやすくなる。
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研究実績の概要 |
当初の研究予定を変更し、令和4年度は肺癌脳転移症例の予後予測に関する検討を行った。肺癌脳転移症例の予後予測スコアとしてLung-mol GPAシステムが用いられることが多いが、日本人コホートにおける妥当性の評価はこれまでなされていない。そこで、所属施設において肺癌脳転移に対する放射線治療を行った319例を対象として評価を行った。まず、同システムを構成する因子(年齢、Karnofsky Performance Status (KPS)、頭蓋外病変の有無、脳転移の個数、および遺伝子変異の有無)について、生存期間との関連を単変量解析にて評価した。その結果、これらの因子はいずれも予後と有意な相関を示すことが分かった。次に、各因子の影響の強さに関して評価を行った。KPSの一部で不整合が見られたものの、その他の因子に関してはlung-mol GPAシステムにおける配点と整合するものであった。Lung-mol GPAシステムによる予後予測と実際の生存期間に関しては、一部の症例(腺癌・非腺癌のスコア0-1.0点群と非腺癌のスコア2.5-3.0点群)で不整合はあったが、概ね合致していた。さらに、2回以上の脳放射線治療をうけた65例を対象に、2回目の治療時におけるLung-mol GPAシステムの妥当性を評価したところ、完全ではないものの予後の参考となることが示された。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て行われた。本研究の成果は英文学術誌に投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度途中で別施設への異動が決まり、当初予定をしていた実態把握研究に関して、そのプロトコール立案および倫理委員会への申請が困難な状況となり、研究計画の変更を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
肺癌脳転移症例の予後予測に関する検討の成果を、英文学術誌に投稿し採択を目指す。新規の所属施設において実施可能な内容を検討し、高齢放射線治療患者における非がん死亡に関する研究を進めていく。具体的には血液透析中の放射線治療症例において、治療中の有害事象およびその後の生存期間について検討するとともに、放射線治療後の腎機能の推移を評価することを検討中である。
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